▲勝手にF1ドライバーズ・コンテスト:2006年シーズンの総括

今回は、今シーズンのF1全16戦の「勝手にドライバーズ・コンテスト」を振り返ってみたい。
(最終のポイントランキングは前回記事を参照)

ここまで毎レース経過を振り返り、「今回頑張ったドライバー」を選んでポイントを付けてレビューを書くという作業を繰り返してきたが、改めて読み返してみると些か赤面モノの表現も多々あり、一体何様だと自分で自分にツッコミを入れたくなる部分も多かった。また、実際に付けたポイントの根拠がレビューからはわかりにくかったのでは…と改めて反省しきりである。いや、要するにポイントを付けるというよりはそれをダシにしてツッコミを入れたかっただけなのかもしれない(爆)。

この「総括」では、そこら辺りの反省も含めて、今シーズンのF1シーンのトピックを今一度振り返ってみたいと思う。


1 「今回頑張った」ドライバーとは…


「頑張った」と一言でさらっと言ってしまうのは簡単だが、いったい何をもって「頑張った」と言うのか、F1に上がってくるほどのドライバーなのだから、ある意味全員が「頑張っている」とも言える…では面白くないので、とにかく自分にとって「インパクトのあったドライバー」が「今回頑張った」ドライバー、としてポイントを付けることにした。

基本の形としては、各レースの持ち点20点のうち、一旦は「優勝したドライバーに10点を付ける」ことにして、後は他に言及したいドライバーの数やそのアピール度に応じて得点を調整した。優勝したドライバーに最高得点を付けた(10点とは限らない)のは全18戦中12戦、「インパクトのあったドライバー」にポイントを付ける、と言った割には何かオーソドックスな結果になってしまったのは今年の反省点と言えよう。

あと、結果が出なかったけれどどうしても言及したかった場合には「0点攻撃」(笑)を特に前半戦はよく使った。予選はよくても決勝でペースをつかめなかったホンダとか、結局1勝もできなかったマクラーレンとか。「マイナスポイント」とか、「点数の次戦持ち越し」という飛び道具も検討したが、それをやってしまうとどうしてもネガティブな物言いが主になってしまうのと、点を付ける上である意味収拾がつかなくなってしまうので今シーズンは見送ることにした。いくらレースをする側と見る側では立場が違うとはいえ、某匿名大型掲示板でよく見かける口汚いネガティブな言及は見ていて気分のいいものではないだろうとも思う。


2 「ドラコン」を振り返る


最終ランキングは、1位ミハエル・シューマッハ(98点)、2位フェルナンド・アロンソ(81点)、3位フェリペ・マッサ(37点)…とミハエルとナノにポイントが極端に集中した形になった。18戦中12戦で優勝ドライバーに最高得点が付いたことから考えて、共に7勝をマークした2人に「ドラコン」の得点が集中してしまったのはやむを得ないところだったと思うが、もう少しレースの中でのプロセスを点にしたかったところではある。

ただ、実際のチャンピオンシップは14点差でアロンソのものになっており、ドラコンとは結果が逆になっているが、ドラコンでも中盤まではナノが大差を付けて首位を独走していた。やはり後半戦でミハエル&フェラーリが猛追したインパクトが大きかったと思う。勝負を諦めないミハエルのプッシュと心理戦での強さがドラコンでの得点に反映された感があるが、実際はドイツGP以降マスダンパーが禁止されたのが大きかったのではないかと思われる。

また、意外だったのはフェリペ・マッサの健闘とキミ・ライコネンの「足踏み」だった。中盤以降、しばしばミハエルを上回るパフォーマンスを挙げ、フェラーリのドライバーとしてのオーラを身につけていったマッサに対して、今シーズン結局未勝利に終わったライコネンは対照的だった。来シーズンはこの2人がフェラーリのチームメイトとして共に戦うあたりに妙な「縁」を感じる。その他マクラーレンモントーヤの代わりに後半戦マシンをドライブしたペドロ・デ・ラ・ロサの好走が光った。「これまで10年間もプッシュしてテストして、旅をして頑張ってきたんだから、それだけの努力はしたと思うんだ。今は雲の上にいる気分だよ。」は今季一番の名言だった。

後はホンダ勢では第3期ホンダの初優勝をマークしたジェンソン・バトンフェラーリから移籍したルーベンス・バリチェロの得点差がかなり開いてしまったのも意外だった(バトン16点、バリチェロ3点)。これはバリチェロへの期待の裏返しの側面もあったかもしれない。ルーベンスは結局リズムに最後まで乗り切れないまま移籍後最初のシーズンを終えてしまった感が否めない。中団バトルの中でどうしても埋もれてしまった印象が強かった。一方でテスト・ドライバーのアンソニー・デビッドソンは今季本当に「いい仕事」をしたと思う。金曜トップ・タイムをしばしばマーク、鈴鹿での雨の8周は感動的だった。

その他もう一つ一つ言い出せばキリがないので割愛するが、最後に佐藤琢磨への5ポイントはまぁ多少身びいきがあったと思う。スタートで中団に飛び出してミッドランドやトロ・ロッソ勢とバトルを繰り広げたあたりはチーム力は「テールエンダー」クラスでもオレはまだまだ速いんだ、という意地を十分に感じさせてもらった。


3 来シーズンの展望


シーズン後半からの参戦のため、この「ドラコン」では2ポイントに止まったものの、何と言っても来シーズンの期待株はBMWザウバーのロベルト・クビカだろう。元々はサード&テストドライバーだった彼は、レギュラーのジャック・ビルヌーブに代わってハンガリーGPから参戦、いきなり7位入賞、一躍注目を集めることとなった(ただしレース後の車検に引っかかり重量不足で失格)。その後イタリアGPでは早くも3位表彰台を獲得、熱い中団バトルの中心にはいつも彼がいた。日本GPではピットからチームメイトにプッシュしろという前代未聞の指示が出るほどだった。シーズン当初の注目のルーキーはウィリアムズのニコ・ロズベルグだったが、いつしかクビカがお株を完全に奪ってしまった感がある。

来シーズンのタイトル争いはマクラーレンに移籍するアロンソフェラーリ勢が中心になると思われるが、クビカが上位陣をかき回す存在になれば面白い。それからミハエルが去るフェラーリは、一応ライコネンが「エース格」ということになるのだろうが、マッサの成長ぶりも著しいものがあり、2人の間の主導権争いもタイトル争いとは別に興味深い。

あとはレースを本当に面白くしてくれる「中団バトル」、今シーズンはレッドブルデビッド・クルサードがそのいぢわるじじい振りを遺憾なく発揮してくれたが(笑)、来シーズンはクビカ、ニコ、そして琢磨が絡んでくれればもう最高に面白くなると思う。シーズンオフのマシン開発にぜひとも期待…してもいいのだろうか???

最後にトヨタ・ホンダの日本勢については…「ウィリアムズ・トヨタ」という飛び道具が出てくるとは思わなかった。ひょっとしたらトヨタ本体より先に勝ってしまうのかも(爆)。そうなったらトヨタ本体はどういうリリースを出すのだろうか。また、今シーズンは時折見せ場を作りつつも決勝のリズムに今ひとつ乗りきれなかった感のあったホンダの来シーズンはどうなるのか…。第2期ホンダとの違いは、マシン開発の中でシャシーの空力性能の占める割合が当時に比べてずっと大きいことだろうか。「先頭集団の座敷わらし」(90年ごろのウィリアムズがフルタチさんにそう言われてたなぁ)からの脱却を望みたい…。


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BAR001・2006年仕様(?)のカラーリング 2006年10月 鈴鹿サーキット