◆Vol10:若狭へ③中央児童公園のC58

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C58-171号機 小浜市中央児童公園 2005年11月26日

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「汽車會社」のメーカープレートがいい味出してます



さて、近江今津からJRバスに乗って小浜に着いたのですが・・・時間はまだ15:45、次に乗る予定のコミュニティバスは17:15ですから、1時間半時間をつぶさなければなりません。ちょっとしたショッピングセンターでもあればおもちゃ屋さんでゲームのデモとかやらせとけばそれなりに時間がつぶせるのですが、そんなものは回りに見あたりません・・・。

「コンビニで本買って」

上の息子がまた何か言ってます(笑)。彼は「あたしんち」第11巻が欲しいようなのですが・・・それにしても小学生低学年の子どもが「あたしんち」というのも、どうなんでしょうか。まぁ夫婦で「パタリロ!」とか「エロイカ・・・」の話を普通にしてるような家ですから、「あたしんち」ぐらいでどうのこうの言っててはいけないのかもしれません。いや、ちょっと違うと思うぞ(笑)。

ともかく、駅前の交番でコンビニの場所を聞いて歩き始めると・・・「行きたくなぁい・・・」。下のムスメは歩き回るのが面倒みたいでぐずり始めました・・・ってまた兄妹で違うこと言いますか。と、上の息子は「**ちゃんわがまま」ってもう止めっちゅうに。キミが絡むと話がややこしくなる(笑)。何とかなだめスカして数分後、やっとコンビニへと向かうことに・・・ヤツらを連れて歩くといつもこんな調子です(笑)。

で・・・途中「中央児童公園」とそこに保存してあるC58-171号機を見つけました。私より子どもたちの方がめざとく見つけて、

「おとーさん、キシャ置いてあるよ、好きでしょ?」
「コンビニ行ったらあとでブランコやろー」

よし、コレで1時間は余裕でイケる(笑)。ただしずっとブランコ押し続けていないといけないかもしれませんが・・・。

公園の片隅に置かれていたC58-171号機はメーカープレートと案内文によれば、1939(昭和14)年9月汽車会社製。この「汽車会社」という言葉の響きがいいですねぇ・・・今は川崎重工に吸収合併されていますが・・・。昭和23年の福井国体の時にはお召列車も牽引したというこの171号機は昭和46年に廃車、地元小浜市に引き取られ、今に至っている、ということだそうですが、この手のものとしては手入れがよく行き届いている方でしょうか。

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機関車の下で飼われてる?ねこさん

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「遠き山に日は落ちて」が似合いそう・・・ちょっと違うか(笑)



「おとーさん、もっとブランコ押してよ」
「それくらいもう自分で出来るやろ」

とか言いながら写真を撮っていると(笑)・・・下のムスメが近づいてきて、「あ、ねこがいる」。

車輪の下をのぞき込んでよく見ると、真っ白なねこが1匹、うずくまってじっとこっちを見ています。スチロールの箱とかが一緒に置いてあるところを見ると、誰かが世話をしているのでしょうか。そのうち息子もやって来て、3人対1匹でにらめっこです・・・。向こうにしてみれば「誰やオマエら・・・見かけへん顔やな」といったところでしょうか。そのうち、ねこさんは小さく「みゃあ」と鳴いてどこかへ行ってしまいました。「へっ、今日はこれくらいにしといたらァ」ということでしょうか。

その後、また戻ってきたねこさんに下のムスメがポテトチップ食べさせようとしたり、どこからともなく現れたもう1匹のねこさん(こっちはいかにも野良ねこっぽかった)におちょくられたり・・・。

公園向かいの市民病院の時計を見ると、5時10分前、そろそろ切り上げて駅へ戻ろう、と彼らの姿を探すと・・・彼らは公園の真ん中にある銅像に書かれた文字をじっと見ています。小浜出身の幕末の志士、梅田雲浜の出立の句でした。

「あれなんて読むの?」ちょっと彼らには漢字が難しいようです。

「妻は病床に臥し児は飢えに叫ぶ 身を挺して直ちに戎夷(じゅうい)に当たらんと欲す今朝死別と生別と唯(ただ)皇天后土(こうてんこうど)の知る有り・・・」

「え、どー言う意味???」かいつまんで意味を説明してみましたが、ヤツラには納得がいかないようです。

「お母さんと子供は死んじゃうの?」
「お父さんは置いて行っちゃうの?」

これ、どう説明したものでしょうか。これ、要するに家族はもちろん心配だが、オレには国のためにやらなきゃいけない仕事がある、スマン、行かせてくれ・・・ということでしょう。うーん、難しい。私自身がこの「出立の句」を見ていろいろと考え込んでしまったのに、ましてやそれを子どもたちに説明するとなると・・・?

「いや、お父さんはそんなことせえへんよ。それぐらい一生懸命仕事しよう、ということやと思うよ」
「ふーん、そうかなぁ・・・おとーさん、もうすぐ5時やで、そろそろ駅へ帰ろう」

そう言いつつも、やっぱり梅田雲浜の像が気になるようです。うーん、もうちょっとうまく言えればよかったんですが・・・素で考え込んでしまった私は、やっぱりカッコ悪いお父さんでしたね。


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「あいあいバス」三菱ローザ 矢代行き

小浜駅から乗ったコミュニティバスはバス停のイラストでは中型のようでしたが、実際に来たのはマイクロバス。このバスが小浜駅と海沿いの集落を矢代まで結んでいて、平日は1日5本、土・日は2本になります。お客さんは私たち親子の他には1人だけ、その人も途中で降りてしまうと私たちの貸切みたいになってしまいました。

日が落ちて真っ暗になった海沿いの道をバスは右へ左へと曲がりながら進んでいきます・・・。と、私の携帯電話から着信音が。もう先に着いているF1鈴鹿キャンプのメンバーからでしょう。志積は終点矢代の一つ手前、でもそこから目指す民宿までどう行けばいいのか、実は知りません(おいおい)。

「今どこ?」
「矢代行きのバスの中。あと5分くらいかな。バス停まで来てくれる?」
「うんわかった、じゃあ今から行くわ」

志積のバス停に着くと、反対側の待合室の蛍光灯の下に懐かしい笑顔が2つ。いや、1ヶ月前に会ったばっかりですが・・・。

「ありがとう、助かったわ」
「お疲れやったね。みんな待ってるよ。先フロに入るか?」