◇【第14回】「カワサキ動車」9601形動態保存車~韓国鉄道博物館(7)

「海外の鉄道・バスの旅」、今回は韓国鉄道博物館の7回目として、動態保存されている「カワサキ動車」9601形ディーゼルカーのスナップをご紹介します。

前回記事の「ニイガタ動車」672号車と同じくこちらも日本製(川崎車両)で、違いはこちらの方が若干妻面の窓が上に寄っているところでしょうか。前回記事の672号は1963年製でこちらは1966年製。形式としては「9601形」とされていますが、実は1992年の番号改正で+9000番となったもので、元はこちらも600番台。初期型の672号は低運転台で、後に高運転台バージョンがリリースされた、という流れなのかもしれません。

まずは写真を見ていただきましょう。


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博物館駅前 2006年10月

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サイドビュー 屋根上の通風機の形が特徴的

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川崎車両(現:川崎重工)のエンブレム


「韓国 鉄道の旅」(JTBキャンブックス)によると、9601形ということはわかるものの、車番は不明とのことです。この動態保存車は「観光列車」(クワングワン-ヨルチャ)と呼ばれており、この車両は2代目にあたります。初代は1995年で休止(実質的には廃止)となったナローゲージ(762mm)の水仁線9100形ディーゼルカーでした。初代車両は、現在では「観光列車」のコースの終端の先に静態保存されています。

2枚目の写真は停車中の「カワサキ動車」サイドビューですが、屋根上のキノコ形通風ユニット(どうもクーラーユニットみたいです)が特徴的で、製造メーカーだけではなくパーツまでもが「国鉄してる」といったところでしょうか(笑)。普通列車用の車両に特急タイプのキノコ型クーラーユニットという日本ではあり得ない組み合わせの妙は輸出用車両ならではです。何か発生品でも見繕って取り付けたのでしょうか。そしてその次の3枚目が川崎車両のメーカープレート、進行方向右側の裾部先端に取り付けられていたもので、「KAWASAKI ROLLING-STOCK MFG CO.LTD」の英名標記と糸車(?)のエンブレムがいい味を出しています。


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車内、走行風景


次の組写真は車内と走行風景ですが……車内はロングシートの真ん中にもう一列椅子が並んでいて、ちょっとでも着席スペースを増やそうという博物館側の努力の表れなのでしょうが、一人で来ていた私は座るのが何となくですが躊躇してしまいました。実際に行く前には鉄道ヲタクの常(?)として運転席の後ろからのかぶりつきを楽しみにしていたのですが、運転席と客室は窓のない仕切で完全分離されています。出発前になると、かなりの年輩の機関士さんが子供を何人か招き入れて助士席に座らせていました。上の写真(右上)は、折り返して「博物館駅」に戻ってきた時に運転室に入れてもらって撮ったものです。

コースはだいたい300mくらいの単線折返しで、博物館駅をスタートしてそのまま終端部でエンド返しをして戻ってくるスタイルで往復の所要時間はおおよそ5分程度、といったところでしょうか。機関士さんが「ひとムチ当てる」ような感じでマスコンを扱うとディーゼルサウンドの咆吼とともに動き出し、後は惰性のまま折返し点までまったりと進んでいきます。韓国のローカル線を縦横無尽に駆け回った車両の「第二の車生」としてはちょっと物足りなさも感じるのですが、ミニ列車とかいう形ではなく、フルサイズの車両を敷地内で走らせているのは考えようによっては驚異的なことなのかもしれません。



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貫通幌が似合いそうな風貌



【観光列車(クワングワンヨルチャ)】
※料金:入場料(500W)とは別に1回300W
※運転時間:10:45/11:30/13:10/14:00/15:00/16:00/17:00
(1往復で1乗車。往復回数は乗客数による)


次回は、「韓国の485系」9900系電車のスナップをご紹介します。


【参考リンク】
◎nigel's bookmarks for bookshelves / *_K:韓国鉄道博物館