▲Rd10ヨーロッパGP:勝手にF1ドライバーズ・コンテスト2007

ちょっと、いや結構「筆が滑る」部分も多々あるとは思いますが、その怒りは笑って受け流しつつも、コメント欄へぶつけて下されば幸いです。

第10戦 ヨーロッパGP(ニュルブルクリンク)

●ポール・ポジション……キミ・ライコネン(フェラーリ)<通算14回目>
●優勝……………………フェルナンド・アロンソ(マクラーレン)<通算18回目>

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【今回「頑張ったドライバー」】



「クック亭ロビン」フェルナンド・アロンソ会心の逆転勝利。

その反面、フェリペにとっては何とも痛い週末となってしまった。金曜のフリー走行から予選まで、あと一歩の所でチームメイトのライコネンに遅れを取っていたマッサにとって、フォーメーション・ラップ中から降り始めた雨は「恵みの雨」となるはずだった。予選3位からスタートを決めて2位に上がったマッサは、レース序盤の豪雨の中でキミがタイヤ交換のタイミングをずらせてしまったのを尻目にトップに浮上、その後ドライコンディションに代わってからは2位アロンソに十分なマージンを作ってそのままゴール……のはずだった。

しかし残り15周となった時点でまたもや雨が降り始め、ウェットタイヤではマシンバランスが微妙に狂っているフェリペのマシンは2位アロンソにどんどん差を詰められていく。そしてナノの度重なるアタックに耐えきれず、あと4周のところで遂に首位を明け渡し、2位でフィニッシュ。それにしてもここのところナノはいつも熱いオーバーテイク・シーンに絡んでいる感がある。今回もホイールをぶつけ合いながらズバッと切り込む気迫の首位奪取。

レース後、喜びを爆発させるナノと気持ちに収まりがつかないフェリペのシーンが国際映像に映し出された。音声はなかったが……こんな感じだったのだろうか。

ナノ:(両腕を大きく上に突き出しながら)イヤッッホォォォオオ……ォオウ!!!!
フェリペ:(ナノの後から肩を叩き)いやさ、あんな言い方ちょっとないんじゃないの?
ナノ:(さらに天高く両腕を突き上げて)キャッッホォォォオオ……ォオウ!!!!!!!
フェリペ:(再びナノの肩を叩いて)だからさ、オレの話、聞いてくれてる?

今回の勝利でポイント・リーダーのハミルトンに2点差に迫ったナノがプレス・カンファレンスでは「チャンピオンシップは最後まで4人で激しく争われることになるだろう」といった意味のことを言っていたが、あれは彼なりに敗れたフェリペに対する慰労のつもりだったのだろうか。ナノも少しは人間が丸くなったじゃないか。


マーク・ウェバー(レッドブル:決勝3位) 3点

アレクサンダー・ブルツ(ウィリアムズ:決勝4位) 1点

デビッド・クルサード(レッドブル:決勝5位) 1点

ニック・ハイドフェルト(BMW:決勝6位) 1点


予選から好調のウェバー(予選6位)が今回遂に表彰台に登った。いいところは時折見せるものの、最後には「善戦マン」で終わる感のあったマークだったが、めまぐるしく天候と路面のコンディションが変わる荒れたレースで最後までコースに踏みとどまった。そして4位以下の顔ぶれもまた「荒れたレース」ではいつも出てくるサバイバル・メンバー。とりわけ圧巻は5位のDC先生で、予選第1ピリオドでノック・アウトを食らった20位からのスタートにもかかわらず、豪雨の中の混乱に乗じて入賞圏内に進出、ピット・イン合戦の間ではあるがラップ・リーダーまで務める奮闘ぶりだった。やっぱりこういう「若き芽を摘むベテラン」(爆)が生き生きと走るレースは面白い。


マルクス・ヴィンケルホック(スパイカー:リタイヤ) 1点

キミ・ライコネン(フェラーリ:リタイヤ) 1点

ルイス・ハミルトン(マクラーレン:決勝9位) 1点


コースのあちこちに川ができてしまうほどの豪雨だった序盤での最大のサプライズは、何と言っても今回スパイカーからF1デビューを飾った27歳のドイツ人マルクス・ヴィンケルホックが数周に渡ってラップ・リーダーを務めたことだろう。

85年にスポーツカーレースの事故でこの世を去った父マンフレイド、そして父方の叔父ヨアヒムと彼もまたF1ドライバーの「血統」を持ち、昨年からスパイカー(当時ミッドランド)とテスト&リザーブドライバーの契約を結んできた。父(F1通算2ポイント)や叔父(「DNQ」キング…スポーツカーレースでは一流どころだったが)と同様に、彼自身も今ひとつ地味なパフォーマンス……というかモロ「ペイ・ドライバー」なのだが、地元GPでのF1デビュー戦でこれ以上はないパフォーマンスを見せた。

フォーメーションラップで雨が落ち始めたのを見て取ったスパイカーのマイク・ガスコインはすかさずマルクスをピットに入れてレインを履かせ(どうせテールエンドなんだからツボってもともと)、さらにスタート直後に雨脚が激しくなると再度ピットへ招き入れヘビーレインを履かせる。このギャンブルがズバリと当たった。

予選順位を問わず雨に足を取られてコースアウトするマシンが続出する中、マルクスは一時マッサに30秒以上のマージンを築き、堂々たるラップ・リーダーとして序盤の周回を重ねていった。このまま行けば……それはさすがにテール・エンダーのスパイカーのマシンでは無理だったが、こういうアピールの仕方もあっていいと思う。というかわずかなチャンスをもとらえてでも前に出よう(たとえ一時的なものでも)というその心意気がいい。

雨が一旦上がって路面が乾きはじめ、セーフティーカーが退いて再スタートとなるや、一瞬にして彼は激流の中の「走るシケイン」と化してしまったのはまぁ仕方のないところだったのだが、せめて2~3周くらいはフェリペの鼻先を押さえてみせればまた面白かったと思う。

一方で予選でポールを獲って好調ぶりをアピールしたライコネンにとっては何とも悔いの残るレースだった。スタート直後に雨脚がにわかに激しくなったのを見て取ったキミはすかさずレインに履き替えようとしたのだが……ピットの入り口でマシンがスライドしてしまい、タイミングを逸してしまう。これがキミにとっては決定的だった。ポイント・リーダーのハミルトンは今回足踏みしてしまっただけにここでのノー・ポイントは痛い。

そして、ルイス・ハミルトンの連続表彰台登壇記録が遂にここで途絶えることになってしまった。とはいえ、やっぱり彼は何故か「運が強い」。

1) 予選最終ピリオド、時速250kmオーバーでコースアウト、クラッシュ。高速コーナーのアプローチでタイヤがバースト、そのまままっすぐグラベルを突っ切ってタイヤバリアに激突したにもかかわらず無傷……というのは凄い。

2)決勝序盤、1コーナーのヘアピンで足を取られてグラベルに捕まる。にもかかわらずエンジンはストールせず、状況が落ち着いてからクレーンに釣られてコースに復帰、レースを続行した。ルイスがコースアウトしてからも次々とマシンがグラベルにスライド、エンジンをことごとく止めたにもかかわらずそれらのマシンにも当たらず、自分一人エンジンが停まらなかった。

ともかく、彼の妙な「強運」に今回1点。



【「今回頑張ったドライバー」第10戦までのランキング】
1位 46点……ルイス・ハミルトンマクレーレン)
2位 33点……キミ・ライコネンフェラーリ
3位 32点……フェルナンド・アロンソマクラーレン
4位 25点……フェリペ・マッサフェラーリ
5位 14点……ニック・ハイドフェルトBMW
5位 14点……佐藤琢磨スーパーアグリ
7位  6点……アレクサンダー・ブルツ(ウィリアムズ)
8位  5点……ロバート・クビカBMW
9位  4点……エイドリアン・スーティルスパイカー
9位  4点……ヘイッキ・コバライネンルノー
11位  3点……マーク・ウェバーレッドブル
11位  3点……ジャンカルロ・フィジケラルノー
11位  3点……ニコ・ロズベルグ(ウィリアムズ)
14位  2点……デビッド・クルサードレッドブル
14位  2点……ヤルノ・トゥルーリトヨタ
16位  1点……マルクス・ヴィンケルホック(スパイカー
16位  1点……ラルフ・シューマッハトヨタ
16位  1点……ジェンソン・バトン(ホンダ)
16位  1点……セバスチャン・ベッテルBMW
16位  1点……アンソニー・デビッドソンスーパーアグリ