▲Rd15日本GP:勝手にF1ドライバーズ・コンテスト2007

ちょっと、いや結構「筆が滑る」部分も多々あるとは思いますが、その怒りは笑って受け流しつつも、コメント欄へぶつけて下されば幸いです。

第15戦 日本GP(富士スピードウェイ)

●ポール・ポジション……ルイス・ハミルトン(マクラーレン)<通算5回目>
●優勝……………………ルイス・ハミルトン(マクラーレン)<通算4回目>

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【今回「頑張ったドライバー」】



予選、決勝と雨が降ろうと、「FISCO名物」の霧が出ようと、はたまたチームメイトがこらえきれずに「一人上手」をしようと…やっぱりハミルトンは強く、冷静だった。タイトル争いで優位に立つとはいえ、ここ2戦ほどは守勢に立つレースが続いていたが、今回の勝利でナノに12点、キミには17点差。「優位」が「絶対優位」に変わりつつある。しかし「よく頑張った」のはルイスだけではない。

ヘイッキが同郷の先輩のキミを差し置いて初表彰台となる2位入賞。「雨の荒れた展開」の中での上位進出というところがまた「タイガー」らしいところ。しかもタイトル争いにくさびをブッスリと打ち込むかのようにキミの前でゴールというのがまたいかにも「フラビオ・スクール」の門下生といったところである。

今回のフェラーリは、チームのミスが(チーム側は「連絡がなかった」とのことだったが…)出てしまった。決勝では全車エクストリーム・レインを履かなければいけないところが、フェラーリだけノーマルのレインタイヤでキミとフェリペを出してしまったのである。おかげでレース序盤にピットインを強いられ、2台ともいったんテールエンドに沈んでしまう。これはいかにも痛かった。それでもキミはいつもどおりの「キミイズム」。なんだかんだ言って結局表彰台に滑り込んでしまった。しかもプレス・カンファレンスもいつもどおりの淡々とした応対。でもこれがいい(笑)。



やっぱり荒れた展開で前に出てくるのがDC先生の真骨頂。表彰台圏内を走りながら結局は4位だったが、この人は今や存在そのものに味がある。40過ぎてもしつこく走り続けてほしいと思わずにはいられない。イケズで「軽くエロい」のがアレなのだが。

それから「雨に強い」スパイカースーティルが自身の、そしてチーム初のチャンピオンシップ・ポイント獲得。実際はリウッツィ(トロ・ロッソ)の後、9位でフィニッシュしたのだが、イエローフラッグが出ている時にトニオがスーティルを抜いて前に出てしまったところを見逃さなかったコリン・コレス代表がすかさずアピール。そのアピールが認められ、スーティルが繰り上げとなった。いやもう、さすがといおうかなんといおうか。



終盤のハイライトは何と言ってもこの2人の競り合いだった。共に上位を窺いながらピットインのペナルティを受けてドツボ同士のバトルは今シーズンの「ベスト・オーバーテイクシーン」の一つに数えられるだろう。最終コーナーで一旦はじき出されかけたフェリペが、それでも踏みとどまってロバートの鼻先を押さえて前でフィニッシュ。何位争いであろうと、こういう場面を見せてもらえれば「やっぱりレースは面白い」と思う。

それから、最後の1点は、この過酷な気象条件の中、ある意味「本当に誰よりも一番頑張った」この方々に差し上げたい。


現地で観戦された皆様方 1点




上のリンクをご覧いただけば(いや、方々でもうご存じと思いますが)、FISCOトヨタはもうボロカスに叩かれている。

鈴鹿にくらべてコース周辺の交通事情が悪い富士でのF1開催は、各チームのロジスティクスの点や、観客の輸送の点で混乱が懸念されていた。そして、観客輸送については、主催者側が打ち出してきたのが「完全チケット&ライド」システムだった。直接来場は一切認めず(徒歩も不可)、コース周辺を一般車両乗り入れ規制区域として、主要な鉄道駅や規制地域外の特設駐車場からのバスのピストン輸送で全てをさばく、といった形だったが、これが結果的にはドツボにはまる。そしてGPウィークを狙い撃ちにしたとしか思えない悪天候とコース周辺の簡易舗装が剥がれて路面が陥没するというアクシデント(土曜日)で混乱にターボがかかった。

もう一言で強引にまとめてしまえば、「逝きます・逝けます・逝かせます」といったところなのか。主催者側手配のシャトルバスに乗ってセッションに間に合わないというのではどうしようもないし、中のメシが高いのは百歩、いや一万歩譲って諦めるとしても、デフォルトでマシンが隠れて見えない観客席があるなんてレース運営的にはもう論外としか言いようがないではないか。

実際は「効率的に」レースの経緯を追うのならテレビ観戦が一番いいのは言うまでもない。それに、鈴鹿でのF1もまた一般の観戦客にとってはロング・スパンの耐久レースなのであって、周辺に宿を取って通うにせよ、クルマで来て周辺の駐車場でキャンプという名の野宿をするにせよ、詳しく書けばもうキリがないから省略するけれど決して楽なものではない。

でも、それでもやはり現地に出かけてみなければ見えないもの、わからないこともまた多い。

実際に聞く、F1マシンのエグゾースト・ノートは予想以上に大きく、甲高く、そして力強い。そして間近に迫ってくるマシンの波動、そういうレース本体の部分だけではなく、サーキットエリアに設けられた各チームそれぞれ趣向を凝らしたブース、無料で配布される各チームの観戦グッズ、そしてそこかしこで感じられるレース好きな人々の熱気。

それから、これは鈴鹿での話だが…目を転じてみれば、近畿府県はもちろん、関東地方や果ては「秋田」「室蘭」とどめは「沖縄」まで全国各地のナンバープレートを付けた来場者のクルマが立ち並ぶ駐車場、トヨタの応援団を乗せてきた三菱製の観光バス、そして三重交通シャトルバスはと見れば、私の好きな「三菱エアロスターM」。

さらには、いつもの観戦仲間と駐車場でテントを張り、タープを立てて焼き肉や焼き鳥と特製の鍋で語り明かす夜、日曜朝一番のフリー走行のエグゾースト・ノートを聞きながら駐車場で飲む熱いコーヒー、連れてきた息子や娘たちにせがまれて乗ったジュピター(大観覧車)からみたコースの全貌、金曜の夜に入りに行った白子駅近くの銭湯…そして白子駅の改札口で見かけたジャン・アレジ……。

もう自分自身のセカイに入り込んでいる感もあるのだが(爆)、レースのある週末に見聞きする全てが、観戦仲間のある方に言わせればまさしく「グランプリ・ウィークそのもの」であって、時間とお金を掛けて楽しみに行くのは、レース単体だけではなくて、「F1GP全体の雰囲気」なのだと思う。

そして私自身は、決勝前のまったりとした空気がスタート進行へ向けた緊張感へと切り替わる瞬間……各車が続々とコース内を疾走してダミーグリッドに付く、TV中継では放送されないその場面が一番好きだ。マシンの感触を確かめるようにアクセルをくり返し煽りながら走り去っていくドライバーがいるかと思うと、余裕綽々でゆっくりと、威風堂々とやってくるドライバー……その数分の間に、出走する全車両が少しずつ間隔を置いて次々とやってくる。その時ばかりは、上位チームと下位チームの区別なく、22人のドライバー全員に「自分らみんなマジでカッコええぞ」(笑)と叫びたい気持ちに駆られてしまう。

今回の観客輸送を巡る「混乱」、客さばきの様々なトラブルは、そんなGPウィークを味わう以前の問題、入り口の問題でごちゃごちゃになってしまったという感がどうしても否めない。巡り合わせが裏目裏目に出てしまった方々の味わわれた苦痛は肉体的にも精神的にも強烈なものだったことと思う。鈴鹿野宿13回経験者の私としても、心の底から「お疲れ様でした」と言わずにはいられない。

だからこそ、今回苦労して現地に行かれた方々、特に今年始めてF1を生で観戦された方々には、ひょっとしてもう無理なのかもしれないけれど、「どうか、F1を生で観戦することそれ自体までが嫌いにならないでください」と切にお願いしたい。そしてFISCOトヨタには、今回の混乱の教訓を生かし、「何がいけなかったのか、どうすればいいのか」を是非とも検討し直していただきたい。



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三重交通の三菱エアロスターM 2003年10月 鈴鹿サーキット正面ゲート前




【「今回頑張ったドライバー」第15戦までのランキング】
1位 67点……キミ・ライコネンフェラーリ
2位 64点……ルイス・ハミルトンマクレーレン)
3位 46点……フェルナンド・アロンソマクラーレン
4位 35点……フェリペ・マッサフェラーリ
5位 20点……ニック・ハイドフェルトBMW
6位 14点……佐藤琢磨スーパーアグリ
7位 11点……ヘイッキ・コバライネンルノー
8位  7点……ロバート・クビカBMW
9位  6点……アレクサンダー・ブルツ(ウィリアムズ)
9位  6点……エイドリアン・スーティルスパイカー
11位  5点……ニコ・ロズベルグ(ウィリアムズ)
12位  4点……デビッド・クルサードレッドブル
13位  3点……マーク・ウェバーレッドブル
13位  3点……ジャンカルロ・フィジケラルノー
15位  2点……アンソニー・デビッドソンスーパーアグリ
15位  2点……ラルフ・シューマッハトヨタ
15位  2点……ヤルノ・トゥルーリトヨタ
15位  2点……ジェンソン・バトン(ホンダ)
19位  1点……マルクス・ヴィンケルホック(スパイカー
19位  1点……セバスチャン・ベッテルBMWトロ・ロッソ