●第3回:一枚幌と二枚幌

このコーナー久々の記事になります・・・「心のキラーコンテンツはいいのですが、もともと「お、幌付きやんけ」(笑)とか言ってハァハァしてるのをもっともらしく書いているだけなので、ネタがどこまで続くか、実は大変不安なのです。ということで、だいたい月2回ぐらいのペースで記事を小出しに挙げていきたいとセコいことを考えています(笑)。

今回は「一枚幌と二枚幌」・・・要は「幌のつなぎ方」のパターンの分類です。


1「一枚幌」の場合


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キハ58同士の連結シーン 1988年12月 JR七尾線・輪島駅


上の写真は、今はなき七尾線の輪島駅・・・急行「能登路」のキハ58の連結部分でこれが「一枚幌」の典型的な例です。

【特徴】
*このパターンでは、編成または車両の片方にのみ幌を装備している。別名「片持ち幌」「片持ち式」ともいう。
*連結時は、幌を装備している側から、幌のないもう一方に幌を引き延ばし、幌座に幌及び幌枠をはめ込んで固定する。
*連結時に使用している幌は一枚であることから、「一枚幌」と呼ばれる。
【メリット】
*「幌」というある種「めんどくさい」パーツを抱える量が半分で済み、保守等の手間が省ける。
*また、幌布の使用量も半分・・とはいわないまでも少なくすることができる。
【デメリット】
*幌に風圧等の外的な力がすべて掛かってくるので、幌布・幌骨の強化及び軽量化が必要になる。
【使用例】
*現在、日本の鉄道会社のほとんどがこの「一枚幌」を採用している。
*海外における使用率は・・・日本ほどではないと思われる。布ではなくチューブ式の幌の採用例が多いことも関係している?


2「二枚幌」の場合


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京阪電鉄交野線1900系の連結部分 2005年5月 枚方市駅


次に、二枚幌の例ですが、上の写真は中間車+運転台撤去の中間車の組み合わせですが、先頭車同士の連結部分の適当な画像がなかったのでやむなくこの写真にしました。

【特徴】
*このパターンでは、編成または車両の両方に幌を装備している。別名「両持ち幌」「両持ち式」ともいう。
*連結時は、両側の車両から幌を引き延ばし、幌枠同士を車両の中間部で重ね合わせて固定する。
*連結時に使用している幌は二枚であることから、「二枚幌」と呼ばれる。
【メリット】
*「幌」の装着・連結方法としてオーソドックスかつコンベンショナルな方法=確実な方法
【デメリット】
*布製の幌の場合は、幌連結時における幌の垂下を防ぐために車体と幌をつなぐ「幌吊」が必須となる=保守等の手間がかかる。
【使用例】
*現在、日本の鉄道会社での使用例はJRの客車(の一部)、京阪電鉄1900系電車(但し前幌なし)、2600系電車くらいである。
*海外における使用率は・・・まだまだ多い。特にヨーロッパの客車はこのシステムの使用率が高いと思われる。


私自身の個人的な趣味で言えば、今では古典的ともいえる「二枚幌」の方が好きです。というのも、このパターンでは編成の両側に幌があるので、写真を撮る場合の「自由度」が高いからです。アングル、光線方向etc...一枚幌ではどっち向きに幌が付いているかでその辺が大きく変わります。場合によっては幌付きの側を撮るためには逆光に甘んじなければいけないこともままあります・・・。それから何と言っても、ダンパー式やバネ式の「幌吊」に「萌えて」しまいます・・・って自分勝手やなぁ(笑)。

あと、二枚幌の使用例で「JRの客車の一部」と上で言いましたが、今まで実車を見た感じでは、14系15形客車は二枚幌、24系客車は一枚幌・・・という印象があります。そのあたり、また識者のご指摘・フォローがあれば幸いです。


【07.06.10補足・訂正】
上記の「14系15形客車は二枚幌、24系客車は一枚幌」の部分についてですが、その後観測を続ける中で、どうやらどちらも「二枚幌」として使用されていることが分かりました。24系24形等は埋込タイプの幌を持ち、幌吊を持たないことから単純に「一枚幌」と考えていましたが、中間寝台車と緩急車の連結シーンを目撃した際に、「二枚幌的に」連結されていました。つまり、以下のように分類するのが正しいのではないかと思われます。

※「埋込タイプの幌」
 14系スハネフ14形、24系オハネフ24形、24系オハネフ25形(0番台)
※「ダンパー(バネ)式幌吊を持つ幌」
 14系スハネフ15形、24系オハネフ25形(100番台、200番台、300番台)、14/24系その他中間車

14系・24系寝台車の幌(特に緩急車のもの)については、さらに観測を続けた上で、また記事にしていきたいと思っています。



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スハネフ15-20 東京駅で出発を待つ特急「富士」 2003年4月

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オハネフ24-22 大阪駅10番線に入線した特急「日本海3号」 2005年6月