●第4回:幌の形態いろいろ(1)ジャバラタイプ

今月2度目の「ホロフェティストの部屋」更新記事です。

今回から3回にわたって、「幌の形態のいろいろ」をご紹介しようと思います。ちょっと記事の順番が逆になった感はありますが・・・。で、今回のお話は、「ジャバラタイプ」の幌です。

【構造・特徴】
*防水処理をしてある布製の幌に金属製の幌骨(枠状になっているもの)が多数縫い込んである。「アコーディオン」のイメージに近いか。
*「ジャバラ」を漢字で書くと「蛇腹」となる。
【採用例】
*幅広い採用例がある。日本の鉄道においては、ほとんど「幌」=「ジャバラタイプ」である。
*「(株)ジャバラ」というそのままずばりの名前の幌制作メーカーがあるくらいポピュラーなタイプである。


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福知山線快速 クハ111-808 2002年2月 大阪駅(10番線)


上の写真はそのポピュラーなジャバラタイプの幌の中でももっともスタンダードな「ジャバラタイプの幌」+「幌枠」付の一例です。旧国鉄の111・113系115系165系、401・415系、455・475系等々・・・「東海型」のフェイスにはやっぱりこのタイプの幌がなければ、「クリープのないコーヒーなんて・・・」でしょうか。年が完全にばれてしまいますね(笑)。

このジャバラタイプの幌は、編成の先頭に出て使われないときは、上の写真でもわかるように、きちんと折り畳まれてところどころ金具でまとめられているのですが、中には折り畳まれている時でも、かなりの分厚さがあるタイプがあります。


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阪急P-6(デイ100形)保存車 デイ116 1999年5月 正雀車庫


その典型例が上の写真のとおり、阪急の往年の名車、戦前の高速電車の代表例とも言われるP-6ですが、すいません、この画像はビデオのモノをデジカメで撮っているので画面がちょっと、というかかなり荒いです。またいいキャプチャソフトがあれば写真を入れ替えたいと思います・・・。'個人的には「ボックスタイプ」と呼んでいるものですが、あと、第1回でもご紹介しました、台湾鉄路局初のVVVFインバータ電車のEMU500形通勤電車の幌もこういう分厚いボックスタイプです。画像は「サイトマップ」の写真にも使っていますので、またご覧になって下さい。

何でこんな分厚い幌が実際に使われているのか・・・空気抵抗も大きいでしょうし、運転席からの視界も悪いのに、とは思いますが、やはり連結時の強度等を考えた結果でしょうか・・・??? 識者の方からのご教示があれば幸いです。

いま挙げた「ボックスタイプ」は、現在の日本の鉄道では、まず例がないもの、と思っていたら・・・下の写真をご覧下さい。


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特急「わかしお」「しおさい」用のJR東日本クハE257-503 2005年1月 蘇我駅


2005年10月ダイヤ改正で登場したJR東日本E257-500番台の先頭車、クハE257-500がその例です。阪急P-6や台鉄EMU500ほどではありませんが、日本の例ではかなり分厚い方の部類に入るでしょう。このE257-500は、東海道本線ホームライナーにも使用されるとかで、活動範囲をますます広げているようです。スタイリングやカラーリングに関して鉄道趣味界での評判は、必ずしも芳しいモノではないようですが、この分厚い幌と大きな幌枠・・・オレ的にはもう「全然OK」ですね(笑)。フェティシズム的には、「ブルーリボン賞」ものです。しかし、特急用の車両で、今時何故こういうスタイリングなのか・・・正直よくわからないところではあります。


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南海電鉄モハ2203 2002年3月 和歌山港線水軒駅


「ジャバラタイプ」の基本形は、布製の幌と幌枠の組み合わせなのですが、どういうわけか、南海と近鉄のモノには先端部に「幌枠」がありません。昔は幌枠を使用していましたが、今では両社の前幌付きの車両は全車幌枠なしとなっています。ですから、畳んである姿を見ても、無造作にクシャクシャ、とまとめてある印象がしてしまいますね。

このタイプは、「南海・近鉄タイプ」とこれまた勝手に呼んでいますが、あとJR東海キハ85系気動車も幌枠のないタイプです。

正確な言い方をすれば、この「南海・近鉄タイプ」は「幌枠がない」のではなく、「先端部の幌骨が幌枠を兼ねている」タイプと言い換えた方がいいのかもしれません。ともかく、このタイプは「幌枠」というパーツの保守・管理を簡略化する必要から生じたもの、と考えることができるでしょうか。

それでは、「ジャバラタイプ」の3つの形態を下にまとめておきます。
1)幌枠付きノーマルタイプ:日本で最も採用例が多く、「ジャバラタイプ」の典型。
2)ボックスタイプ:幌が分厚い。幌の存在感、迫力は一番だが日本では採用例が極端に少ない。
3)南海・近鉄タイプ:先端部の幌骨が幌枠を兼ねている。

私個人としては、どのタイプに一番「萌える」か・・・・・・それは言うまでもないでしょう(笑)。

次回はゴム製の「チューブタイプ」の幌のお話をする予定です。おそらく3月10日前後の記事upになるかと思います。