■No.11:淡路交通MR470(廃車体)

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兵庫県美方郡温泉町(現・新温泉町)某所 1988年8月



「三菱G4ボディの肖像」、今回は淡路交通で使われていた三菱MR470の廃車体をレポートします。

淡路交通とは、名前のとおり淡路島全島をカバーするバス事業者で、かつては洲本-福良間に電車を走らせていました(~1966年9月)。バスマニアンの方々には、淡路交通の路線バス=いすゞ車の牙城」として知られ、実際現行のいすゞのベストセラー「エルガ/エルガミオ」シリーズが最初に納入された事業者でもあります。

ただ、面白い(?)ことに時折路線車に三菱車を購入することがあり、今回ご紹介するG4タイプのMR470(側窓の数から推定)の他、最近では特急バス用にトップドア仕様のエアロスターMや中扉を増設したエアロバス観光タイプの路線バス用特別仕様が活躍しています(公式webページの「写真博物館」にも三菱G4モデルのバス画像を掲載)。

さて、上の写真ですが、廃車後、但馬地域(兵庫県北部)のある工場の物置か倉庫として使用されていたMR470(G4三菱純正タイプ)で、リアのグリルの形状や開口部の広さから1974年か75年式のものと思われます。工場の入口近くの道端に寄せて停められている様子から考えて、兵庫県南部の淡路島から遙か北の但馬地方まで自走してきて、そのままナンバープレート等を取り外し、廃車手続を取ったような趣でしょうか…。写真を見る限り、まだボディ等の腐食はさほど進んでいない感じで、但馬へ来てまださほど経っていない(せいぜい2年~3年くらいか)のではないかと思われます。リアの屋根上のバックモニター用TVカメラこそ取り外されていますが、まだまだ現役で使えそうな雰囲気でした。


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事業者名や側板裾部の「FUSO」エンブレムもまだ鮮明に読みとれる…


私自身は手持ちの写真はほとんどありませんが、バス趣味の一分野に「廃車体めぐり」というものがあります。全国各地で倉庫や物置、あるいはスクラップとしてうち捨てられている廃車となったバス車体の所在を突き止め、可能な限り映像等の記録に収めてくるといったもので、これまた最近コアなマニアを擁している「廃墟めぐり」とも一脈通じているところがあるでしょう。バスマニアンの観点から見た「廃車体」は、今や営業車では見られなくなった年式のバス(多くは1960年代後半~70年代)の実車をこの目で確認できるという楽しみがあり、一方廃墟マニア的な視点からは廃車体にある種の「棄景」的な存在感を感じる…といったところでしょうか。

ただ、モノがモノだけに、非常に見つけにくく、またほとんどは個人所有のものですので、所在地の詳細については伏せられることがほとんどです。また、きちっとした形式写真を撮るには、個人の私有地に入らなければ不可能なケースも多く、迷惑がかからないように敷地外から苦心して写真を撮るか、所有者と交渉して撮影するか、いずれにしても手間暇のかかる分野でもあります。また、置かれている場所によっては前か後ろかどちらか一方しか見えない、というケースも決して少なくなく、今回ご紹介したこの廃車体は敷地外にあって、しかも周囲がクリアで前後両方の姿を容易に撮影できてなおかつ状態がいい…というかなりラッキーな物件でした。

たまたまクルマで通りかかり、小雨がしょぼしょぼ降りしきる中夢中でシャッターを押して回ったあの時からもう18年…このバスは今どうなっているのかが気になります。使われなくなったクルマは鉄道車両と同様に何も手入れをしないと急速に「朽ち果てて」いくことを考えれば、おそらくこのバスも、もう倉庫や物置としても使われなくなり、姿を消しているものと思われます…。


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【関連Webページリンク】
●淡路交通 -Wikipedia
●淡路交通株式会社Webページ ~「写真博物館」には鉄道写真も多数収録されています。
●廃バス探検隊(あそびにんさん) ~実を言うと、「三菱G4」というバスモデル名はこのページで知りました。