●第11回:「幌好き」のメンタリティについてヘリトレする

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前幌は113系の魅力を引き出すアイテム…Tc111-7756等4連小浜色:大阪駅


「心のキラーコンテンツ」として今年1月に思い切って始めてみた「ホロフェティストの部屋」、いろいろな方々からコメント欄でツッコミやご教示等いただき、これまで10回記事を書かせていただきました。これからも「貫通幌の魅力」をわかりやすく(?)お伝えしていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

ところで、このたび書庫の名称を「ホロフェティストの部屋」から「貫通幌のガイドラインに変更させていただきました。どうも「フェチ」とか「フェティスト」という言葉が、広く一般に公開するモノの名称としてはいかがなものか、よろしくないのではと考えたからです。いえ、私個人のノリとしては別に「フェチ」でかまわないのですが……ってちょっと待った(爆)。

そこで、今回は書庫の名称変更を記念して、というわけではないのですが、これまでの「まとめ」と「区切り」も兼ねて…、

◆「幌好き」のメンタリティについてヘリトレする

と題して記事を書かせていただきます。「ヘリトレ」とは「屁理屈トレーニング」の略で、制限なくさまざまに理屈をひねり出してみるというお遊び。元ネタは「なぜアメリカの郊外・田舎では歩くことがタブーなのか?」をヘリトレする(シナトラ千代子さん)で、基本のルールは次のとおりです。


1 できるだけたくさん 
2 できるだけ短く 
3 正しいかどうかはとりあえず考えない。「ありそうなこと」だけを考える。 
 (注)これをやる前に「これがなにかの役に立つかどうか」で判断するひとはやらないほうがよさそう。向いてない。


ちょっと上のルールからは外れている所もありますが(笑)、とにかくやってみました。

■「幌」の魅力
(1) 車両の「表情」が引き締まる。
(2) 車両全体に「精悍さ」が加わる。
(3) 車両の「無骨さ」をポジティブに感じられる。
(4) 車両の「スパルタン」で「ヘビーデューティー」なキャラクターを際立たせるアイテム。
(5) 時として主役を食ってしまうベテラン脇役俳優のような存在感がある。
(6) あればあったで「暑苦しい」が、なければないでどこか寂しい。
(7) あれば確かに「暑苦しい」、でもその暑苦しさがいい。
(8) 貫通型車両に前幌がないのは「クリープのないコーヒー」のようなもの。
(9) 鉄道車両が本質的に内包している「鉄のマスというsexualite」を体現・補完している。

■「幌」に魅力を感じるシチュエーション
(10)風をはらんでほつれた前幌に「頑張ってるなぁ」と思う。
(11)風をはらんで膨らんだ前幌にスピード感と力強さ、同時にある種の可笑しさを感じる。
(12)分厚くせり出した前幌に「横浜のクルーンが投げる時速160kmの剛球」的な力強さを感じる。
(13)経年車の少々くたびれてほつれた前幌にその車両の年輪と風格を感じる。
(14)きれいに折りたたまれている幌にある種の「機能美」を感じる。
(15)きれいに折りたたまれている幌はちょっとした「オブジェ」のようでカワイイ。
(16)車内からほの見えるほつれた幌の端にさりげない自己主張を感じる。
(17)幌枠でブロックしてもなおあふれ出てくる幌布には確かな存在感がある。
(18)幌枠で完全ブロックされていてもなお感じられる幌布の静かな立体感。
(19)埋め込み式幌が少し飛び出ているときに感じる中途半端さ、でもそれがいい。
(20)妻面に完全に埋め込まれていても貫通路に沿って見え隠れする幌のチラリズム
(21)プラグドアの窓からほの見える収納式幌のチラリズム
(22)プラグドア収納式幌を持つ車両の増解結シーンの静から動、動から静へのダイナミズム。
(23)ジャバラタイプの幌が伸縮したり連結時にうねうね動くと醸し出されるメカニカルなエロス。
(24)貫通路に鎮座するチューブタイプの幌が放つ黒光りした質感。
(25)ダイヤフラムタイプの幌に漂うポヨポヨ(ぷにぷに)とした質感。
(26)二枚幌のダンパー式(あるいはバネ式)幌吊の持つメカニカルな躍動感。
(27)二枚幌の連結時に感じる幌枠同士のタイトな密着感。
(28)車体色とコーディネートして塗装されている幌(または幌枠)のささやかな自己主張。
(29)前幌と前パンタとの組み合わせで醸し出される重量感が最高
(30)前幌とアンチクライマーやジャンパ栓との組み合わせもまたいい。

■「幌」の魅力…具体例
(31)幌は国鉄型車両、特に113系115系の無骨な魅力を引き出す必須のアイテム。
(32)特急型車両で敢えて分厚い前幌、大型の幌枠を付けたJR東日本E257-500の心意気に惚れた。
(33)JR北海道731系電車・201系気動車のたっぷりとした自動連結ハイテク幌に感動した。
(34)JR九州813系電車の自動連結・解結装置付の存在感あふれる分厚い幌がたまらない。
(35)流線型のJR東海85系気動車(100/1100番台)の幌と「アタッチメントのような幌座」に感じる力業。
(36)特急「しなの」381系電車(Tc/Tsc381-0)に取り付けられていた前幌に感じるおマヌけな可笑しさ。
(37)台湾鉄路局EMU400/500/600形通勤電車の「50ヤード独走タッチダウン」的な超弩級の幌の迫力。
(38)阪急P-6(デイ100形)の「思いきりアメリカン」な特大幌に「重厚長大」という言葉を連想する。
(39)編成ごとで幌枠の塗り分けが異なるJR加古川線クモハ102形3550番台の芸の細かさに脱帽した。
(40)顔面貫通幌のデンマーク国鉄IC3/IR4、ベルギー国鉄AM96-EMUに感じるキッチュな機能美。
(41)運転台側と非運転台側が連結されているときに感じるアンバランスさ、でもそれがいい。

■「幌好き」になった理由
(42)なぜ幌が好きか…「そこに幌があるから」。
(43)物心が付いて初めて目にした鉄道車両が前幌付きだった。
(44)「鉄分」に目覚めた時身近に走っていたのが前幌付きの車両だった。
(45)毎日前幌付きの鉄道車両を使って通勤・通学している(いた)うち刷り込まれた。
(46)かっこいいと思った鉄道車両がたまたま前幌付きだった。
(47)「ホロフェチウィルス」に感染した(または感染者からうつされた)。
(48)元々「幌好き」としての素質、つまり幌の魅力を理解する感受性を持っていた。
(49)「幌好き」を見て最初はおちょくっていたが気が付いたら自分もその気になっていた。
(50)「幌好き」というある種の「隠れキリシタン」的なポジションに惹かれた。
(51)ヘンタイだから(セクシュアルな意味ではなく)。
(52)もともと車両全体よりもディテールへのこだわりが強い。

■「幌好き」の行動と思考パターン
(53)鉄道車両を撮る時はまず前幌付きの車両を最優先のターゲットにする。
(54)一枚幌(片持ち式)の場合、前幌を受け持つ側の車両を優先して撮る。逆光でもケツ打ちでも満足。
(55)前幌付きの車両がいると聞けば、どこであろうと撮りに行きたくなってのたうち回る。
(56)ビデオなどで一枚幌の車両の幌のない側を見ると、「反対側を見せてくれ」と心の中で叫ぶ。
(57)一枚幌の車両を見て、どちら向きの車両かが瞬時に分かる。
(58)JR西日本の貫通型車両、221系や223系、207系321系には前幌を付けてほしいと思っている。
(59)人のブログで前幌付きの車両の写真があると、ついコメントを入れたくなる(入れてしまう)。
(60)で、「幌がいいですねぇ」「興奮しました」「鼻血出ました」とか言いそうになる(言ってしまう)。
(61)日本で貫通幌のシェアNo.1は愛知県の成田製作所(90%)ということを知っている。
(62)成田製作所の公式Webページを見に行ってブラウザのブックマーク(お気に入り)に入れた。
(63)Googleで「幌」と入れて検索したら、やたら「札幌」が出てきて凹んだ。
(64)Googleで「***系、幌」と入れて検索したら、模型のパーツのページばかりヒットして凹んだ。
(65)Googleで「***系、幌」と入れて検索したら、別系列の車両の幌のページばかりヒットして凹んだ。
(66)画像検索のサイトに行ったら、まずは前幌付きの車両の形式名で検索をかける。
(67)「幌」あるいは「ホロ」という言葉の語感が好きだ。
(68)そのままずばり「幌萌」という地名(室蘭市)があるのを知っている(幌萌鐵道管理局さんのWebサイト)。

(69)「幌という細部」にこそ「神が宿る」と信じている(ミース・ファン・デル・ローエか)。


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超弩級の幌を持つ台湾鉄路局EMU500(左)400(右)形通勤電車:基隆駅