●第14回:幌の色彩学(2)ブラック

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キハ47-1092 2004年1月10日 加古川線日岡駅


今回の「貫通幌のガイドライン」は、「幌の色彩学」(?)の2回目、「黒い幌」についてです。

と、いざ「黒い幌」について考えてみると、布製のジャバラタイプの幌で黒色の適当な例がどうも思いつきません。JRの40系ディーゼルカーはどうかと思い、色々とチェックしてみましたが、幌枠が黒いだけでその後ろにはいささかくたびれたグレーの幌布が付いているか変色して黒っぽくなったようなグレーの幌が付いている、といったものばかりでした。例としてキハ47の写真を上に挙げていますが…「黒い幌布」はあるようでなかなかないですね。

JR西日本125系は、「黒い幌にシルバーの幌枠」と思って実際に写真を見てみましたが…「グレーの幌に黒い幌枠」の間違いでした(笑)。と、色々見ていくと、最近「黒い幌枠」の例は結構多いような感じはします。とりわけJR西日本車の113系は急速に黒い幌枠化が進んできているように思えます。


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デンマーク国鉄(DSB)のIC3ディーゼルカー

*seadipper氏撮影"Train on the Puttgarten to Roedby ferry"(flickr)より
http://www.flickr.com/photos/seadipper/188258290/in/set-72157594196712663/
*クリエイティブ・コモンズ「帰属-非営利-同一条件許諾2.5」ライセンスの下で公開されています。
(http://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/2.5/)

やはり「黒い幌」となるとゴム製の幌ということになるのでしょうか。上の写真は「顔面貫通幌」の元祖、デンマーク国鉄(DSB)のIC3-DMU(ディーゼルカー)ですが、フェリーに積み込まれて対岸のドイツからデンマークに航送されているシーンです。

このIC3シリーズについては、この書庫「貫通幌のガイドライン」第5回でも触れていますが、この記事の「国土に島が点在し、フェリーに列車を積み込むことが多く、場合によっては編成をばらして積み込まなければいけないことも多いデンマークの交通事情が産んだ合理的なシステム。ディーゼルカー(DMU)3両1ユニットのIC3がリリースされたのは1990年…」との解説文にぴったりと合うイメージですね。何気に隣に大型トラックが並んでいるところがまた興味をそそります。



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イギリス・South West TrainsのClass450 EMU(450-003)

FreeFoto.comより
http://www.freefoto.com/preview.jsp?id=23-64-26&k=South+West+Trains+Class+450+Siemens+Desiro

次も転載可の画像素材からお借りしてきたものですが、イギリスのSouth West TrainsのClass450 EMU(電車)で、ドイツ・シーメンス社製のパワーユニットを装備した"Desiro"と呼ばれている4両で1ユニットのタイプです。ちなみに集電はイギリス伝統の第三軌条からですが…最新式の電車でもなおサードレール集電というところがいかにもイングランド、といったところでしょうか(笑)。

それはともかく、幌についてですが、「ダイヤフラムタイプのジャバラ幌」という私のチェックからは漏れていた代物です。このタイプの幌はtakuyaさん(市千葉建替えレポート)にご教示いただいたモノで、日本ではJR東日本E331系(先頭車非貫通タイプ)の車両間にこのタイプが採用されているようです。

そもそも、「ジャバラ」といえば、鉄道車両の幌のことばかりに頭が行っていた私ですが、(株)ジャバラさんのWebページを見てみると、様々な材質(ゴム、鉄、紙、プラスチックetc)で様々な用途に使われていることが改めて分かりました。というか日頃使っているストローの可動部分もよく考えればジャバラ形態でした…。

それにしても、このClass450の画像、アングルといい、幌への光の当たり具合といい、何ともゴム幌の黒光りした質感を余すところなく伝える1枚だと言えるでしょう。日本と並んで鉄道車両の「前幌天国」とも言うべきイギリスですが、フィッシュ&チップスと前幌を堪能するためだけにでもぜひ行ってみたいと思います(爆)。



次回は…幌布や幌枠を車体色に合わせて塗っている「コーディネートタイプ」のお話の予定です。