●第15回:幌の色彩学(3)コーディネート

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近鉄南大阪線6020系(左)6200系(右) 2004年3月 橿原神宮前


今回の「貫通幌のガイドライン」は、「幌の色彩学」(?)の3回目、「車体色コーディネートタイプ」についてです。

つまり、車体色に合わせて幌布や幌枠を塗っているようなケースですが、まず思い浮かべるのは近鉄電車の前幌です。上の写真は南大阪線の6020系と6200系の並びですが、幌布の外側をマルーン、内側をアイボリーと車体色に合わせて塗り分けています。この塗り分けは、マルーンとアイボリーのツートンカラーが特徴の近鉄一般型車両に共通の特徴で(ただしグレーとアイボリーの「シリーズ21」はグレーの幌布)、よく目立つワンポイント、といったところでしょうか。

ちなみに、この「近鉄近鉄タイプ」(第4回:幌の形態いろいろ①ジャバラタイプ参照)の幌には先端に幌枠がなく(というか先端の幌骨が幌枠を兼ねている)、見た目には無造作にクシャクシャとまとめられている感じです。上の写真の例は比較的きれいにまとめられていますが、風をはらんでかなりほつれているケースも結構見かけます(第1回:ホロフェティスト宣言参照)。


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近鉄南大阪線初の特急型車両・16000系 2004年3月 橿原神宮前


次の例もまた近鉄ですが…今度は南大阪線用の特急型車両の16000系です。前幌を受け持っているのは橿原神宮前・吉野向きの制御車(Tc)ク16100形。近鉄の特急型車両の先頭車は、アーバンライナーNEXTのような非貫通の流線型か、貫通型でも幌はプラグドア収納タイプが主流になっていますが、16000系はいにしえの姿を今なお伝える幌むき出しのタイプです。こちらは幌の外側が車両の塗り分けに合わせてダークブルーに塗られています。内側はグレーですが、どうせなら内側はオレンジに塗ってしまえば、と考えるのは私だけかもしれません(爆)。

この16000系、1965(昭和40)年の登場以来、阿倍野橋-吉野間の特急列車の主力として9編成(1編成は4両組)が活躍してきましたが、うち1編成が廃車、3編成が大井川鉄道に譲渡され、近鉄時代の塗色のまま今なお活躍しているようです。ただ、ク16100形の前幌はどうやら撤去されてしまっているようでちょっと残念です。



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東武8000系 クハ8421 2005年1月 志木駅


次は、幌枠の色が「コーディネート」されている例ですが、今「連載」中のJR103系車両紹介で登場しているのは、まさに偶数向車のクモハ102-3550番台で、その中で3編成が「コーディネート塗色」の例です。

それから思い浮かぶのは何と言っても東武鉄道の古豪8000系で、上の写真でお分かりのように、律儀に(?)幌枠と幌座が白とブルーに塗られています。そして幌座と幌枠にまるでサンドイッチされているような形で収まっているのはオーソドックスなグレーの幌布で、幌の存在感を際だたせるなかなかいい色の塗り分けだと思います。となると、いっそのこと幌布自体も同じ色に…とまたいつもの妄想癖が出てくるのでこれくらいにしておきましょう(笑)。

その他幌布や幌枠をグレー以外の色に塗っている例としては、以下のものが挙げられます(また何か他に例があればご教示願います)。

JR東海313系電車  … 幌枠が白(先頭車の妻面の塗り分けとコーディネート)
*盛岡地区の気動車  … 幌布が赤に、また幌枠が黄色に塗られているものがかつて存在した?
JR九州813/817系電車… 幌布(幌座か?)が赤っぽいものがある(要確認)
*台湾鉄路局旧形DC  … 車体色に合わせて幌布をダークブルーに塗っているものがあった。



次回は…色々な「幌吊」についての特集を予定しています。