●第16回:幌吊のいろいろ(1)一枚幌

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クハ115-1234他岡山電車区K3編成 2005年8月 有年駅


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リニューアル色115系中間車の連結部分 2006年4月 岡山駅



*今回の「貫通幌のガイドライン」は、幌の連結時や収納時に保持するためのパーツである「幌吊」のいろいろの1回目、「一枚幌」タイプについてのお話です。


上の1枚目の写真は…115系の牙城・岡山電車区の4連組K3編成の幌付き先頭車Tc115-1234です。この車両の「幌枠」の上辺に小さな突起物が左右に2個付いていますが、これが一枚幌タイプの「幌吊」で、旧国鉄/JRの車両で最もポピュラーな構造のものと言えるでしょう。

実はこの「突起物」は「幌座」と「幌枠」の両方に付いていて、左右それぞれ異なる形状をしています。上の写真2枚目は、幌吊を拡大したもので、わかりやすいように幌を連結した中間車の部分を撮ってみました。

【特徴】
*左右の突起物は、片方が矢印状の構体[A]もう片方が穴の空いた円盤[B]となっている。
*幌座と幌枠の上辺には[A][B]が左右それぞれ逆に装着されている。
*幌を収納する際には[A]と[B]をはめ込んで固定する。

*上から見ると…下のようなイメージになる。
 ●幌座側[A][B]
 ◆◆[幌布]◆◆◆
 ●幌枠側[B][A]


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103系の中間車連結部分 2006年8月 姫路駅播但線ホーム


[A][B]が幌座と幌枠で左右それぞれ逆に装着されているさらにわかりやすい例が上の写真です。これは日根野電車区から播但線ラッシュ時用に貸し出されている103系6連組のもので、クハ103-16とモハ102-16の連結部分を撮ってみました。






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東武8000系未更新車10連 2005年1月 東上線ふじみ野駅


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東武10030系(左)と850系(右)の並び 2006年2月 伊勢崎線北千住駅



次は、東武タイプの幌吊」とでも言えばいいでしょうか。何か「一つ目小僧」というか目玉親父みたいな趣があってちょっと笑えます。


【特徴】
*国鉄/JRタイプが2点留めならこちらは幌座・幌枠上辺中央の「1点留め」
*幌座側に細長い矢印状の簡単なフック、幌枠側は穴の空いた円盤
*幌の収納時は、幌枠側の穴の空いた円盤を幌座側の簡単なフックに引っかけるようにして固定する。


最後の写真の10030系ですが、こちらには8000系や850系のような「幌吊」がありません。こういう「幌吊なしタイプ」は他には幌枠のない「南海・近鉄タイプ」の幌(●第4回:幌の形態いろいろ①ジャバラタイプ参照)や、JR東海キハ85系(●第1回:ホロフェティスト宣言!参照)の例があります。これら「幌吊なしタイプ」では、おそらく幌布に縫い込まれている幌骨にバネが仕込まれた複雑な構造となっていて、幌収納時の幌布の保持の役割を果たしているものと思われます。


*次回は二枚幌タイプの幌吊を見ていきたいと思います。