●第17回:幌吊のいろいろ(2)二枚幌

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京阪電鉄 2600系2604(Mc) 2005年5月 私市駅



*今回の「貫通幌のガイドライン」は、幌の連結時や収納時に保持するためのパーツである「幌吊」のいろいろの2回目、「二枚幌」タイプについてのお話です。


上の1枚目の写真は…今や国内では「希少種」となった「二枚幌」タイプの幌を付けている京阪2600系(電車タイプではほとんど唯一)ですが、貫通扉の斜め上、言い換えればヘッドライトの斜め下から幌枠に向けて伸びているダンパー状のアームが「二枚幌の幌吊」です。

過去記事と若干重複しますが、前回記事でご紹介した一枚幌の幌吊が、幌収納時の保持のためであるのに対して、二枚幌の幌吊は下記のような機能を持っています。


1)幌収納時の保持のため(一枚幌と同じ)
2)幌連結時の垂下を防ぐため


ここ3回ほど、「幌の色彩学」の記事を続けてupしましたが、京阪2600系の幌布と幌枠はオーソドックス(?)なグレーですね。車体色とコーディネートして、幌布をダークグリーン、幌枠をグリーンに塗り分けてみても面白い、と思ってみたりします(笑)。


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スハネフ15-15 寝台特急彗星 2005年4月 三ノ宮駅


次も「2枚幌」の幌吊の例ですが、こっちはダンパーではなくて、バネになっています。ちょっと写真ではわかりにくいのですが、バネの下から幌枠に向かって細いアームが伸びているのが見えるでしょうか…。

今や国内では、動力車の「2枚幌」は京阪2600系、中間車も含めれば同じ京阪の1900系くらいになってしまいましたが、意外とブルートレインは「穴場」ですね(笑)。14系15形客車の中に2枚幌タイプのものが生息しています。以前「第3回:一枚幌と二枚幌」のコメント欄でつばごんぱぱさんにご教示いただいたのですが、どうやら14系15形客車は、運用上エンド方向が一定していない(電源車が分散している関係上で)ため、2枚幌タイプのモノが今なお生息している、という事情のようです。

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台湾鐵路局EMU500形通勤電車 1998年1月 基隆駅



この「EMU500形」、当ブログでは再三再四登場しています、というかさせていますが、大きく重厚な幌を備えたこのクルマは、「ホロスキー」な私にとっては、「これ撮るだけのために台湾に行ってもいい」と思うほどの前幌車の逸品というか至宝です(爆)。

このEMU500も「二枚幌タイプ」なのですが、今回の写真では、幌の厚みがよく分かるアングルのものを選んでみました。

通常は、幌吊の本体であるダンパーやバネから伸びているアームは…幌枠の上から概ね1/4あたりの所でつながっています。しかしこのEMU500形の場合は、アームがぐんぐん下まで伸びていて、幌枠とつながっている部分は、と見れば、幌枠の下辺すれすれの部分です。レーシングマシンのサスペンションでもプッシュロッドとプルロッドとタイプが大別して2つありますが、この幌吊もさしずめ「プルロッドタイプの幌吊」ということになるのでしょうか。

それにしても、この電車、スクウェアなボディシェイプ、分厚い幌布に大きな幌枠、そしておおぶりなジャンパ栓にゼブラ模様の警戒色に塗られたスカート…と「武骨さの極み」といった感じですね。これでもか、とばかりに武骨さを強調するパーツを寄せ集めていますが、この世界屈指ともいえる「スパルタン電車」、発車時には盛大にVVVFサウンドを周囲に振りまいて出ていきます。パワーユニットはドイツ・シーメンス社製なのですが、さすがに「ドレミファインバータ」のセッティングにはしなかったのはスタイリングのせいでしょうか(笑)。ちなみに、製造メーカーは国際競争入札で落札した韓国・大宇重工(DAEWOO:現・Rothem社)です…ってすっかり枝葉の方が長くなってしまいました。


*次回は、「一枚幌の装着方向」について考えていきたいと思います。