◆Vol36:阪堺電軌モ162~大和川駅(2)
上の写真は、旧南海オリジナル・カラーに塗り直されたモ162で、他にもう1両、モ163も同じオリジナル・カラーに塗られています。モ162の方は「ワンマンカー」表示の看板が白地に黒書き、モ163は看板が黄色に黒書きとなっているところが芸の細かいところでしょうか。
このモ162、今回のシリーズで既に一度登場しています。◆Vol33:阪堺電軌・恵美須町駅で、撮影した1987年当時は「イトーヨーカドー」のラッピング広告を身に纏っていました。見比べてみると、やはりオリジナル塗色の方がモ161形の武骨なスタイルにマッチしていていい感じですね。
このオリジナル・カラー…「モス・グリーン」とでも言えばいいのでしょうか、南海の鉄道線も共通の塗色でした。やっぱり「南海」はこの色がイイです。1960年代生まれの私にとっては、この色で連想するのは何と言っても「野暮ったい南海ホークスのビジターユニホーム」ですね(笑)。
その後、鉄道線はグリーンの濃淡のツートンカラーを経て今のコーポレートカラーに、軌道線は平野線を除いてクリームとダークグリーンのツートンへと分かれていきます。この「オリジナル塗色車」、何も考えずにたまたま撮りに行って偶然出会いました。今度はモ163の方もぜひ記録に残したいところですが、いざ狙うとなると、今度はなかなか捕まらないのではないかと思ってみたりします。
大和川を出発したモ162は、吊り掛けモータの鈍いうなりをあたりに振りまきながら、大阪市内へ向けて鉄橋を渡っていきます。そしてレールのコトコト鳴る音と、テノールの優しい声音をかすかに残しながら、みるみる小さくなっていきました。