■No.15:京都交通・B806L国道急行バス

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園部行き国道線急行バス 1986年10月 四条河原町



*今回の「三菱G4ボディの肖像」は、京都交通バスの幹線・国道線急行バスの主力として活躍していた三菱B806Lです。

通称「B8系」のグループに位置するこのシャシー形式は、通常の路線バス(MR系)とは異なり、高出力で観光バスタイプのボディに多く架装されていましたが、この例のように速達運転を行う路線や山岳路線など、高出力を要する路線では、路線バスタイプのボディにも架装されていました。中でも「B806」は、元々は観光バス専用のシャシーでエアサスのみ、V8・230PSのハイパワーバージョン(MR系は165PSの6DB1エンジン)。最後のアルファベットの「L」は、ホイールベースを表し、車格的にはMR470(WB5400mm、全長10600mm)に相当します。つまり、今回ご紹介するこのバスは路線タイプのボディに本来観光バス専用のシャシーを架装した数少ないケースなのです。

しかも、前後のバンパーの上には…「京2 い2680」と燦然と輝く「ヒトケタナンバー」(笑)。1969(昭和44)年式のこのクルマ、撮影時点ですでに車齢17年を経過しており、既に町中の一般車でも「ヒトケタナンバー」を見かけることは極めて珍しくなってきていた時代でした。そんな中、京都交通のメイン・ルートたる国道9号線急行バスに堂々とこんなのが出てくるところが…やはりローカルのバス会社、といったところなのでしょうか。写真的には駐車中のタクシーに被りまくりで完全な失敗作で、もうすこしちゃんとした場所できっちり形式写真を撮っておきたかったのですが…残念ながら次に撮る機会はやって来ませんでした。

ちゃんときれいに撮られている写真は…「KOTETSU倶楽部」さん「京都交通・三菱大型車/京2い・京22か~999」に収められています。ここにはこれまた私が結局撮り逃がしてしまったG4呉羽バージョンの画像も見ることができます。ここのページによると、このタイプのバスは87年頃までは走っていたようです。既に京都交通は、白を主体にした新しいボディカラーに移行しており、そういう意味でも、旧塗装のまま残った「シングルナンバーのB8」は貴重な存在でした。

とはいえ、それは趣味上のの話であって、実際に片側1車線の9号線をクルマで走っていてこのバスの後ろに付いたら…それはそれはもう、たまりませんでした(爆)。何せ発進時や加速時は、この世の終わりのようなディーゼルエンジンの咆吼に加えて盛大に吹き上がる排気ガスでしたから。単車に乗ってて後ろに付いてしまったら…想像しただけでも咳が出そうになります。


ちなみに、「京都交通の現在」ですが、路線網を京都府内の国道9号線と27号線を幹として周辺の過疎地に展開していたこともあり、慢性的な経営不振に陥った末、2004(平成16)年1月に会社更生法の適用を申請することになりました。そして、京都(祇園)-園部間の国道急行バスは同年10月23日限りで廃止されてしまいます。

その後、亀岡本社については、京阪バス100%子会社の「京阪京都交通となり、ボディカラーも京阪バスと同じものに変わりつつあります。また、舞鶴支社については、日本交通(本社:鳥取市)の子会社としての「京都交通となりました(一時期社名を「新京都交通」としていた)。丹波あたりの山の中をドライブしていたら、ひょっこり古い日野の中型車が現れたりしたものですが…多くは廃止されるか、沿線自治体のコミュニティバスとなっています。



【関連リンク】
●京都交通 -Wikipedia