◇【第1回】ソウル駅~新旧駅舎の対比

今回からの新コーナー「海外の鉄道・バスの旅」は、韓国を代表する鉄道駅・ソウル駅からスタートします。

地上部分は2004年4月のKTX(韓国高速鉄道)の開業で駅舎・ホームが全面的に改装されたKORAIL(韓国鉄道公社)のソウル駅、地下部分はソウルメトロ1号線(そのまま国鉄京釜電鉄線へ接続して広域電鉄1号線を構成)と4号線の駅となっています。


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旧駅舎・1995年11月


上の写真は1995年に韓国へ職場の親睦旅行で行ったときに撮ったもので、1925年の開業以来ソウルの顔となってきた風格ある旧駅舎です。東京駅とよく似たデザインのため、設計者は東京駅の設計を手がけた辰野金吾博士(1854~1919年)とされることが多いようですが、実際は諸説あるようではっきりしません。ソウル地元有力新聞の東亜日報の記事(2006.10.26)によれば、朝鮮総督府所属のドイツ人ゲオルグ・ラランデと辰野金吾の弟子と言われる塚本靖東京帝大教授(1869~1937年)がアムステルダム中央駅とヘルシンキ中央駅に倣って設計したとされています。

1995年に立ち寄ったときは、ハングル文字も切符の買い方もさっぱりわからなかったので駅本屋のコンコースをぶらぶら歩いて売店で新聞と時刻表を記念に買ってきたくらいでしたが、切符売り場の各窓口は長蛇の列で、各ホームごとに改札口がずらりと並んでいました。韓国の鉄道は、地下鉄や広域電鉄線を除いて「列車別改札」が基本となっていて、列車が出発する10~15分前にならないと改札をやらないようです。しかも鉄道写真の撮影は、原則駅長さんの許可が必要ということで、駅で列車の形式写真や編成写真を撮るのはちょっと難しそうでした。ただ現在では、三脚を立てて本格的に撮ろうとするならともかく、コンデジでちょっと記念写真をスナップ、といった程度ならあまりやかましく言われないようです(それでもあまり長く居座って撮ってると制止されるのだとか)。


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KTX開通で様相を一新したソウル駅 2006年10月


次の2枚の写真は、今年11年ぶりにこれまた職場の親睦旅行の自由時間を使って行ったときのもので、KTX開業で面目を一新したソウル駅の姿です。旧駅舎との位置関係は上の方の写真でわかると思いますが、旧駅舎の隣にガラスを多用した大きな駅舎が2棟くっついたような形でそびえ立っています。駅名標のハングル文字は「ソ-ウル-ヨク」(「ヨク」とは「駅」の意味)と書かれていますが…何かアジアの鉄道駅というよりは、ハングル文字がなければそれこそTGVの駅(パリのモンパルナス駅とか)のような趣ですね。

駅本屋のコンコースに入ると、吹き抜けの天井から光が射し込み、明るくて開放的な雰囲気。切符売り場の各窓口にそれぞれ順番待ちの列が並んでいるのは昔のままですが、ホーム毎に置かれていた改札口は出発・到着専用の2つに集約され、いずれも自動改札機となっていました。ただ列車別改札はそのままで、出発改札口の他駅の各所に置かれているLSD式の表示板で●印がフラッシュしている列車に有効な乗車券のみ出発改札機を通れるようになっているようです。

そして、出発改札機のところには、グレーのパンツスーツの制服をパリっと着こなした50代のお姐さまがテキパキと案内業務をこなしていました。まだ改札が始まっていない列車の切符を持った人には、電光掲示板を指さしてもう少し待って、と指示し、出発ぎりぎりにやって来た人にはホームを指さして早く急げとせき立てる姿は案内というよりは何か関所の番人みたい(爆)。

水原(スウォン)までのムグンファ号の切符を買った私は、しばらく出発改札機の脇で様子を伺っていたのですが…ホームに止まっているKTXセマウル号ムグンファ号の姿がちらっと見えると、次第に「早くホームに入って写真撮りたい」という気持ちが盛り上がってきました。改札が始まる15分前まではもう待っていられなくなった私は、ネタ本として持ってきた「韓国の鉄道」(JTBキャンブックス)を取り出し、「韓国語一口会話 ~撮影許可を求める」の所を開き、意を決してお姐さまに話しかけてみました。「チョギヨー!」。

そして、ムグンファ号のチケットを手渡して、同時に「韓国の鉄道」の撮影許可を求めるフレーズの所を指さして見せながら、「キニョムロ、イーヨゲッソ チョルトサジヌル チゴト クェンチャンスムニカ?」…つまり、「記念にこの駅で鉄道の写真を撮ってもいいですか?」と言ってみました。すると、お姐さん、私を頭のてっぺんからつま先までジロっと一瞥し、「サジン?」(写真?)と確認するように一言。で、私はコンデジをGジャンの胸ポケットから取り出して「ネー!」(はい)。一瞬の間を置いて、彼女は大きくうなずくと、改札機脇のラッチを開け、どうぞ、と通してくれました。

何とかうまくいきました。ムグンファ号の出発までまだ30分近くあります。さぁ、まずは4番線に停まっているKTXから攻めてみましょう…。


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駅からの出目風景 正面左側の巨大な建物は、大宇(テウ:DAEWOO)グループ本社ビル




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