◇【第4回】KORAIL・ムグンファ号(1)ソウル駅にて

「海外の鉄道・バスの旅」、今回は韓国鉄道公社(KORAIL)の最もポピュラーな優等列車であるムグンファ号です。

ムグンファ号の「ムグンファ」とは、韓国の国を象徴する花の名前から取っており、漢字では「無窮花」と書きます。日本名は「むくげ」。元々は最優等列車セマウル号とトンイル(統一)号の中間セグメントの列車として1980年に設定され、「ムグンファ号」と命名されたのは1983年のことでした。

キャラクター的には、セマウル号を補完し、また地方都市相互を結ぶ役割を持つ列車であり、ローカル線の枝線を除くほぼ全国ネットで設定されています。普通列車(ピトゥルギ号)や急行のトンイル(統一)号が廃止された現在、列車によって停車駅を変えるバリエーションに富んだ設定により、中・長距離のリーズナブルな鉄道移動には欠くことのできない基幹的な列車として活躍中です。


イメージ 1
<クリックすると大きくなります>

ソウル駅に停車中の10:15発釜山行きムグンファ号 2006年10月29日


上の写真は、前々回(【第2回】KTX・韓国高速鉄道)KTXを撮った同じホームから、反対側の対向ホームに停車中のムグンファ号の編成写真ですが、編成を牽引するのは1986年にセマウル号牽引機としてデビューした現代精工製の7000形ディーゼル機関車です。全長約21m、軸重20.0t、出力3,300馬力のハイパワー機で、1BOXのワゴン車のような独特の形状から、ニックネームは「ボンゴ」(爆)。他形式のディーゼル機関車アメリカGMC製のノックダウン車であるのに対して、一段上の性能を有する純国産の「野心作」でしたが…片運転台のため方向転換が必要で、重連も不可、燃料積載量は従来機の1/2という部分が災いし、製造わずか15両で打ちきりとなりました。

それにしても、この機関車(7007号機)、よっぽど酷使されてきたのか、前面部分がボロボロで…もう少し何とかならないものでしょうか。もっとも機関車はDL、ELともに全形式で目下車両更新工事が進行中のようで、塗色変更(赤・白・青のトリコロール)も併せて行われており、このクルマも更新工事待ちでそのままにされているのかもしれません。

機関車の次位に連結されているちょっと短めの車両は、発電車99501形(長大列車用)ですが、7000形DLは確か「韓国の鉄道」(JTBキャンブックス)によるとMG付きのはず…。想像ですが、色々な形式の機関車が牽引するため、対応可能なように編成の中にデフォルトで組み込まれているのかもしれません。ちなみにこの編成では機関車の次位に連結されていますが、その後の観察結果によると、必ずしも機関車の次位ではないものも見受けられました。そのあたりの事情は…またおいおい調べてみたいと思っています。

そして、発電車の後ろにはトリコロールというかアラン・プロスト色」ムグンファ号専用客車が7両…。これまたその後の観察結果によれば、だいたい発電車+客車5~7両というラインナップがムグンファ号の基本のようです。


イメージ 2

ムグンファ号の横サボ


日本では、北海道の40系気動車あたりを除いてもうほとんど見られなくなってしまった「横サボ」ですが…韓国ではまだまだセマウル号ムグンファ号、通勤列車(トングン-ヨルチャ)のいずれでも健在のようです。やっぱり汽車、とりわけ長距離の客車列車には横サボでなくちゃ(笑)。

サボの標記で「Seoul」(ソウル)には漢字表記がありませんが、もともと「ソウル」には相当する漢字表記がないそうで、「京城」(キョンソン)は日本統治時代の、また「漢城」(ハンチャン)は中国語での標記です。ただ、最近中国語の標記法が変わったようで、「ソウル」の音を生かした「首爾」(ショアル)となっていて、地下鉄や広域電鉄線の路線図にはこの「首爾」がハングルや英語と併記されています。いえ、また余談でした。


次回は…ソウル~水原間でのムグンファ号のいろいろなスナップを引き続きご紹介します…とは言っても、コンデジでの走行写真という何とも「チャレンジャー」な記事になると思いますのでご容赦のほどを…。


イメージ 3




【関連リンク ~Wikipedia
■ムグンファ号 ~歴史、使用車両等の詳細
■むくげ ~花びらの形は何かさくらっぽい
■ソウル特別市 ~「ソウル」の標記法の変遷等