◇【第5回】KORAIL・ムグンファ号(2)

「海外の鉄道・バスの旅」、今回も前回に引き続き、ムグンファ号の旅、ソウルから古都水原(スウォン)までのスナップをご紹介します。

まず最初は…7300型ディーゼル機関車(1989年現代精工製、3000馬力)が牽くこの写真から。場所はこれまで何度か登場した広域電鉄線の南榮(ナミョン)駅です。

と、その前に、話はまた遡りますが、切符を買うときはちょっと緊張しました。…列に並んでいる間も会話本(「旅の指さし会話帖(5)韓国」)を何度も眺めながらシミュレーションしていました。そうそう、こう言ってみて、ダメだったら時間と行き先をアルファベットと数字でノートに書いて見せようか…。並ぶこと数分、とうとう私の番が回ってきてしまいました。言いたいのは…「次のムグンファ号、スウォン駅まで1枚下さい」。立席は…そうそう「イプソク」だった。カウンターのお姉さんは、丸顔でなんとなく優しそうなメガネっ娘(おいおい)、何とかなるだろうか…。

「タヌン ムグンファホ、スウォンヨッカジ ハジャン チュセヨ」

お姉さん、にっこりと頷くと端末をかちゃかちゃ遣りだして…。よかった、通じてた。ご丁寧に時間と行き先にペンで印を付けて、10時15分、スウォンまでムグンファ号です(と言ってたのだろう)、とチケットが出てきました。値段は…レジの上のLSDディスプレイに出てくるので韓国語が聞き取れなくても大丈夫(笑)。2,800ウォン(日本円で約420円)…所要約30分、距離にして40km程度特急に乗ってこの値段ですからやっぱり韓国の公共交通機関は安いです。と、また前置きが長くなってしまいました。


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南榮駅を通過するソウル駅発車直後のムグンファ号 2006年10月30日


南榮駅は、ソウル駅のすぐ隣の駅で、列車線を行く列車もまだスピードに乗っていないので、コンデジでも何とか編成写真をモノに出来るはず…だったのですが、やっぱり機関車の先端がやはりスピード感にあふれてしまっています。機関車の塗色は、前回記事でも触れたように更新機のトリコロールカラー、別名アラン・プロスト色」って私が一人で言ってるだけですが…緑と黄色のちょっと泥臭い感じと違って、こっちは客車の色にもマッチして爽やかな感じ、と言ったところでしょうか。

複々線の列車線(正式には「長距離線」)と、京釜広域電車線との位置関係は、この辺りでは電車線の西側に列車線が並んでいて、この列車線をセマウル・ムグンファ号KTXがシェアをして走っています。


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漢江(ハンガン)を渡るソウル発のムグンファ号 2006年10月29日


最初の停車駅、龍山(ヨンサン)を出発すると、ソウルを象徴する大河である漢江の鉄橋にさしかかります。上の写真は、鉄道博物館からの帰りに広域電鉄線の電車から撮ったムグンファ号ですが…例によってスピード感あふれる仕上がりになっているのはご容赦下さい。

これまでご紹介したムグンファ号専用客車とはちょっと感じが異なり、連続窓に車体の配色が少し違うのがわかるでしょうか。この客車が新しいムグンファ号専用客車で、制作メーカーの名前(デザイン・リミット社-現SLS重工業)を取って通称「リミット客車」といいます。2001年頃から増備が続いているこの客車は、今のところ編成に1~2両挿入されている、といったところです。


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安養(アニャン)駅を通過するソウル行きムグンファ号 2006年10月29日


セマウル号ムグンファ号の長距離列車は、龍山を発車すると、漢江を渡るとソウル市南部の永登浦(ヨンドンボ)に停車、その次は水原まで一気にノン・ストップで駆け抜けます(KTX始興から高速新線に入って次の駅は天安牙山)。電車線と列車線の位置関係は所を入れ替え九老(クロ)あたりでは電車線の東側に列車線が並び、京畿道内に入る安養市あたりからは電車線の内側に列車線、さらに西側には電鉄線急行列車(クッペンヨルチャ)用の線路、というこれまた複雑なポジショニング…。電車線のホームで待っていると…セマウル号ムグンファ号ディーゼルターボサウンドも高らかにフル・スピードで爆走していきます。

上の写真は、安養駅でスナイプした新塗色の7300型ディーゼル機関車牽引のムグンファ号ですが…編成写真としてはどうか編成全体を後ろに下げて脳内で補正願います。サンプル写真としては1枚目のものをご参考に、ここはスピード感を目で見ていただく、ということで。何でこの駅で写真を撮っているかというと…水原でムグンファ号を降りた後、鉄道博物館のある儀旺(ウィワン)まで折り返すつもりだったのですが、間違えて電鉄線の急行列車に乗ってしまい、安養まで持って行かれてしまったのです(笑)。

地球の歩き方」のソウル地下鉄-広域電鉄線の路線図では儀旺も「急行停車駅」として記載されていますが、儀旺に停まる急行はソウル-天安(チョナン)間の停車駅の多い「A急行」。日曜日には設定がないようで…私が乗ったのはより速達タイプのB急行(龍山-天安間)。まさか水原-安養ノンストップとは思いませんでした。


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儀旺駅を爆走していくソウル行きムグンファ号 2006年10月29日


で、今度は儀旺まで戻った時にスナップしたムグンファ号です。こっちの7300型DLは更新前の従来色のもの。えー…今度は逆に引きつけが足りずに「ライジング・サン構図」になってしまったのでトリミングしています。それでもなお機関車先端部に表現されている「スピード感」は如何ともしがたいものがあります。それはそうとして、ハイパワーのディーゼル機関車が牽く客車列車が次々にやって来る韓国の鉄道…完全に電車・ディーゼルカーの「マルティプル・ユニット」が主体となった日本ではもはや見られない風景です。マイホームタウンさんのカメラを借りてくるべきだったと深く後悔しています(え?)。


次回は…水原駅のスナップを予定しています。


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