●第21回:萌える幌の角度

今回の「貫通幌のガイドライン」は……前回予告していたとおり、「萌える幌の角度」についてのお話です。

生身の人間じゃあるまいし、幌に「萌える」もへったくれもまぁないといえばないのですが…やはり角度によって見映えがちがう、ということは確かにあります。「ホロスキーな」方々の中でもいろいろとご意見があるかもしれませんが、個人的には、「萌える」ための要件は次のとおりです。

*幌布全体の各部分ができるだけ多く見えること(外側、内側、上辺、下辺等)。
*幌布のボリュームが感じられること。
*車両本体も合わせて遠近感が感じられること。

とか書いてみましたが、結局は人のポートレイトと同じ「斜め30~45度」といったところでしょうか…。とにかくまず実例を見てみましょう。


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リバイバル運転の急行「犬吠」クハ165-151 2002年10月23日 両国駅


ちょうどこの写真が45度くらいでしょうか。鉄道車両の「形式写真」は対向ホームから台車や機器等の下回りも入るように撮るのが基本だと思われますが、幌に関しては、やはりホーム横付けで撮った方が幌の質感をよりリアルに感じられます。いかがでしょうか。

この日のリバイバル運転で使われていたのは高シマ(新前橋電車区・現高崎車両センター)の165系3連(Mc+M'+Tc)で、JR東日本の既定から考えると、前幌は奇数向きのクモハ165に付いているはずなのですが、実際は偶数側のクハ165に付いている「例外」で…いや、その、幌の付いてる向き話のはもう前回で終了でした(笑)。

ちなみにこのリバイバル運転、知ってて狙って行ったのではなく、たまたま家族旅行で、写真を撮るため単独行動をとらせてもらっていた最中に、総武緩行線の車窓から見かけ、思わずダッシュで撮りに行ったものです。もう既にその道の方々が多数集結し、間近で撮れるポジションに潜り込むのにはなかなか大変でしたが、それで結局撮ったのはこういう幌狙いの写真ですか…。


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近鉄南大阪線 モ6403 2002年5月 古市駅


もう少し、実例を見てみましょう。

上の写真は、JRと同じ1067mm軌間南大阪線から長野線に乗り入れる準急ですが、こちらはだいたい斜め30度、といったところでしょうか。幌そのものではないのですが、「幌萌度」をアップさせるアイテムと言えば……言わずとしれた「前パンタ」、業界(?)用語で言うところの「前パン」でしょう。しかもこのサンプルのように前後2丁パンタなら…なおのこと言うことなしです(笑)。鉄道車両が長編成化してきた今となっては、パンタグラフは中間電動車が受け持っている例がほとんどで、なかなか前パンにはお目にかかれなくなってきています。

今でもその御姿を拝むことができるのは、写真の近鉄のほかは、南海、それからJR西日本125系電車、クモハ112-5300/5800の一部、クモハ114-6600番台の一部くらいです。あと、最近登場したJR東海313系5000番台が前パン付きのようです…いや、また「枝葉」のお話の方が長くなってしまいました。

言い忘れてましたが、近鉄の前幌は、南海同様、「幌枠」の代わりを先端部の幌骨が受け持っているために幌布を畳むときにまとめにくいのか、ほつれ具合がなかなか激しいです。上の写真も結構ほつれていますが、もっと凄まじいのもあります。●第1回:ホロフェティスト宣言! の写真4枚目のモ1249がそれです。この「幌布のほつれ具合もまた「萌え度」アップの要素といえるでしょう。



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南海7000系リバイバル塗色編成 モハ7027(左)とモハ7038(右) 2006年5月 住ノ江検車区


今度は、ちょっと違う角度からも見てみましょう…真横からのアングルですが、幌のボリューム感という点ではやはりこの直角90度です。

とはいえ、編成の先端部ではちょっと物足りない向きにはいかがでしょう、連結時の幌の伸び具合もまた「萌え度」アップの要素です。そもそも、車両の連結部分にはそこはかとないsexualiteがあります。去年の春ごろだったか、「おんぷちゃんねる鉄道掲示板」の「連結部分祭り」がなかなか終わらなかったのを憶えていますが…それにしてもみんなよう写真持っとるなぁ…駅でお目当ての車両を撮ったついでに1枚撮って帰るんでしょうか。

そこに幌布のジャバラが加わると…とりわけ南海は先頭車両の連結器がちょっと長めなのか、幌布の伸び具合が他の事業者とひときわ違います。まさに「メカニカルなエロス」(●第11回:「幌好き」のメンタリティについてヘリトレする)…ってもーええっちゅーの。


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台湾鉄路局 EMU500型通勤電車 1998年1月 基隆駅


最後は、これまた何回目の登場でしょうか…またもや出てきた台鐵のEMU500、国際競争入札で落札した韓国の大宇重工とドイツのシーメンスのコラボレーション作品。この角度(10度程度)では、どうしても幌布は幌枠にブロックされてしまいます。ましてやこの車両はとりわけ幌枠が大きいので上の写真でもお分かりのとおり、幌布は端の部分にちらっと見えるだけです。でも「幌フェチ度」が進んでくると、姿は見えなくてもあふれ出てくる幌布の存在感と立体感を感じることができます。先程の「ヘリトレ」で言えば…

(18)幌枠で完全ブロックされていてもなお感じられる幌布の静かな立体感。

といったところでしょうか……ってマジでヘンタイやな(笑)。

ついでながら、下の側面写真に標記されている車番の「45」は車重が45tクラスであることを意味していて、次の「EM」は車両形式で、日本で言えば「クモハ」(Mc車)に相当します。最後の数字下2桁が編成番号。全部で86編成の車両アレンジは、基隆側から「EM(Mc)+ET+EP(パワーカー、パンタ付きT)+EMC(車掌室付きMc)」の4両で1ユニットとなっています。


次回記事は、「幌の制作メーカーについて」を予定しています。