●第22回:前幌・前パン観測記録~福フチの食パンカフェオレと小浜線125系

今回の「貫通幌のガイドライン」は……またまた予定を変更して、先週末に福知山駅小浜線で「観測」した「前幌・前パン」の観測記録をお送りします。

「前パン」つまり車両前位側のパンタグラフと前幌の組み合わせが前幌の「萌え要素」をアップさせる、ということは前回記事でも触れたところですが、国鉄型電車では先頭車はモーターのない制御車(クハ)が多数派であったことと、パンタグラフを持つ電動車にも、パンタは後位側に1基のみという伝統から考えて、国鉄型電車の「前幌・前パン」はない、という不文律のようなものがありました…と適当に言ってます(笑)。ところが、福知山運転所電車センター(福フチ)にはその「掟破り」の「萌える編成」=「前幌・前パン」編成が存在しています。

先週の土/日は、鈴鹿F1キャンプのメンバーと恒例の(と言っても2回目ですが)、小浜の民宿でカニづくしの忘年会でした。行きのルートは、西神から地下鉄と神鉄を乗り継いでまずは三田へと出て、以降福知山線篠山口で1度乗り換えて福知山へ、更に舞鶴線で東舞鶴、最後は小浜線で三方へと至る5回乗り継ぎのおそらくマニアしかやらないグランド・ツアー(笑)です。その途中、福知山で舞鶴線337M普通列車(12:49発)に乗り換えたのですが、1番線舞鶴線ホームに現れたのは…前幌付きの「食パンカフェオレ」クモハ114-6106が国鉄伝統のPS16系菱形パンタを2丁振り上げた雄姿でした。


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福フチR2編成 M'c114-6106+Mc115-6536 2006年12月16日 福知山駅


いかがでしょうか。今トレンドのシングルアームとか下枠交差パンタのようなチャラチャラしたもの(笑)とは違い、やっぱり伝統の菱形パンタの武骨さが前幌とよくマッチしています。

福知山所には、中間電動車から改造されたクモハ112+113のユニットが18本、クモハ114+115のユニットが5本在籍しており、パンタグラフは中間電動車から踏襲したクモハ112、クモハ114の後位側に1基が基本ですが、一部の編成には霜取り用に前位側にもパンタを装備しています。ただ、前位側パンタが上がるのは冬季(概ね12月~3月初旬)限定で、いざ記録に残そうとなると、訪問のタイミングがなかなか合わず、数年間観測待ちの「ロック・オン状態」が続いていました。

今回、たまたま福知山駅で観測に成功しましたが…やはり下回りもきちんと収めた「形式写真」の記録を残しておきたいところで、「普通列車運用編成表」(ジェー・アール・アール)で再度リサーチの上、今シーズンは引き続き観測と記録を行いたいと思っています。


【福知山所・2丁パンタ装備の編成】
*N1:M'c112-3802(前幌なし)+Mc113-3819(非貫通)<三代目福知山色>
*N3:M'c112-3805(前幌なし)+Mc113-3815(非貫通)<三代目福知山色>
*N6:M'c112-3811(前幌なし)+Mc113-3811(非貫通)<三代目福知山色>
*N9:M'c112-3814(前幌なし)+Mc113-3814(非貫通)<三代目福知山色>

*S4 :M'c112-5304(前幌)+Mc113-5304<体質改善工事・リニューアル色>
*S9 :M'c112-5309(前幌)+Mc113-5309<湘南色>
*S33:M'c112-5803(前幌)+Mc113-5803<湘南色>

*R1:M'c114-6123(切妻・前幌)+Mc115-6510<体質改善工事・リニューアル色>
*R2:M'c114-6106(切妻・前幌)+Mc115-6536<体質改善工事・リニューアル色>

<注>
*N編成の運用区間は、山陰本線福知山-城崎温泉間、福知山線篠山口-福知山間
*S編成、R編成の運用区間山陰本線京都-福知山間(京都-園部間は4両組編成等の福知山寄りに併結)、舞鶴線福知山-東舞鶴

「JR電車編成表'05夏」(ジェー・アール・アール)より


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中間電動車からの改造が分かるナンバープレート



その後、東舞鶴で乗り換えた小浜線941M敦賀行きは、途中の小浜駅で約20分間のフォト・ストップ(笑)を挟む形式写真派にはありがたいスケジュールでした。125系のスクエアなスタイルと前幌には、却ってシングルアームパンタがよく似合うと思いますが、小浜駅構内では起動時のパンタ着線確保のためか架線が低い位置にアレンジされており、伸びやかに上がる「シンパ」の姿を収めることがかなわなかったのは残念なところです。

3年前に小浜線125系を観測に行ったときは、まだ下回りはさほど汚れていませんでしたが…今回改めて見てみると、度重なるハードブレーキングで鉄粉が飛散するのか、スカートも含めてかなり下回りと裾板部の汚れが気になる車両も見受けられました。


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小浜駅でフォト・ストップ中の941M敦賀行きクモハ125-7

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対向ホームに東舞鶴行きが到着

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フォト・ストップの後は学校帰りの学生さんで満員

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子どもたちはひたすら「読書」と「エンたま」に熱中


ちなみに、帰りのルートは…もちろん元来たルートではなく、反対側の敦賀へ出てから、敦賀以南直流電化でこの10月から京都・大阪・神戸へと直通するようになった新快速1本で三ノ宮まで帰ってきたのは…いうまでもありませんでした(笑)。

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北陸線敦賀直流電化で増備された125系電車 敦賀駅


最後に、敦賀駅でスナップした125系電車もレポしておきたいと思います。写真はいずれも敦賀直流電化に際して小浜線北陸線運用のための増備分(cMc125-13~18)で、上がクモハ125-13、下がクモハ125-18ですが、長方形の幌座に加えて、これまでの12両には見られなかった国鉄/JR標準タイプに近い2穴式(とでも言えばいいか)幌吊が装備されているのが特徴的です。


ちなみに、内装は当初投入された小浜線用のもの(cMc125-1~8)に準じたものとなっており、一方妻面助士側のステップは加古川線用増備車(cMc125-9~12)を踏襲しています。


次回は、前回記事でも予告したとおりに、幌の制作メーカーについてのお話の予定です。