◇【第10回】パシ5-23号機&展望客車~韓国鉄道博物館(3)

「海外の鉄道・バスの旅」、今回は韓国鉄道博物館の3回目として、展示車両のパシ5-23号蒸気機関車と、展望客車のスナップをご紹介します。

前回ご紹介したミカ3形のある場所からさらに奥に進むと、一回り大きいSL、パシ5形が鎮座しています。「パシ5形」とは、朝鮮総督府鉄道の旧「パシ-コ」形、つまり「パシフィック形(前輪2軸-動輪3軸-後輪1軸)の5番目」の形式の車両ということになります。


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前面のナンバープレートにはハングルで「パシ」と標記されている… 2006年10月


動輪3軸のパシフィック形…とくれば、車格的には日本のC57、C59あたりに相当するのでしょうか。このカマはボイラーが結構ずっしりとしているので、C57というよりはC59の方が似ているかもしれません。このパシ5-23は、1942年川崎車両(現・川崎重工)製で、優等列車牽引用の花形機関車でした…となるとやっぱり「韓国のC59」といったところでしょうか。でも煙突の上にある三角屋根がちょっと「いかがなものか」ですね(笑)。

日本のC57、C59と寸法等を比較すると、下記のとおりになります。寸法的には標準軌のパシ5の方がやはり若干大きくなっています。

*パシ5形 … 全長23.750m 全高4.750m 全幅3.250m 動輪直径1.850m 出力1060馬力
*C57形 … 全長20.280m 全高3.945m 全幅?????m 動輪直径1.750m 出力1290馬力
*C59形 … 全長21.360m 全高3.980m 全幅?????m 動輪直径1.750m 出力1702馬力



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貴賓車16号車

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貴賓車16号車の内部 ~デッキから


上の写真は、パシ5形が当時牽引した特急「のぞみ」号に使用されていたテンイネ3形客車で、第2次大戦後は「貴賓車16号車」となりました。この車両は、通常デッキまでは立ち入り可能で、内部は時間を区切って公開しているようなのですが、私が行ったときはタイミングが悪く、車内はデッキからガラス越しに撮影しました。中の座席配置は…何か会議でもできそうな感じですが、それもそのはず、戦後は「大統領専用車」として使われていました。

パシ5形が牽いていた客車は、もう一両保存されています。


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貴賓車17号車

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貴賓車17号車の内部 ~デッキから


こちらは、「あかつき」号に使用されていた展望車ラテンイ1形客車で、これも車内はデッキからガラス越しに撮りました。何かちょっとボけてますが…ガラスが少し汚れていて「天然フィルター状態」になっていたからです。こちらは向かって正面に朝鮮半島の地図が懸かっていますが、戦後は駐留米軍司令官専用車として使われていたようです。

貴賓車16、17号車いずれも写真では少し分かりづらいのですが、台車は3軸になっています。


次回は、初代DL塗色を纏ったアメリカ製3100形ディーゼル機関車の予定です。


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【参考文献】
*「韓国 鉄道の旅 KTXで拓く新しい韓国の旅」(JTBキャンブックス)