●第26回:成田エクスプレスの連結シーン

The 300th article


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東京駅地下ホーム(総武本線)行先案内板 2006年10月


「貫通幌のガイドライン」各論編…今回はJR東日本成田エクスプレス(N'EX)の連結シーンをレポートします。

成田空港と首都圏を連絡するアクセス特急成田エクスプレス」は、1991(平成3)年3月19日から運行を開始、専用車両として253系電車が新製されました。この253系電車は総武地下線を走行することもあって先頭車はプラグドア付きの貫通扉・収納式の貫通幌を備え、斬新なデザインとカラーリングが評価されて、鉄道友の会ローレル賞(1992年)、第4回ブルネル賞(近距離列車部門最優秀賞)を受賞しています。

編成パターンは以下のとおり3両組と6両組があり、3/6/9/12両と様々な編成パターンを組めるのが持ち味となっています。JR「伝統」のパターンなら奇数側に本形式の制御電動車…となるのですが、253系のMc車は偶数番形式のクモハ252というところがユニークです。

←大船・横浜・高尾・池袋・大宮
<3両組>
クモハ252(M'c)+モハ253(M)+クロ253(Tsc)
<6両組>
クモハ252(M'c)+モハ253(M)+サハ253(T)+モハ252(M')+モハ253(M)+クロ253(Tsc)
→千葉・成田空港


と、前振りが長いのはもはや通例となってしまいましたが…東京駅総武地下ホームでの編成連結シーンのレポートに移りましょう。実は今回の連結シーンのレポート、時々お邪魔させていただいている「市千葉建て替えレポート」(たくやさん)の記事「成田エクスプレス連結作業(東京駅)」(2006.09.12)の記事に「幌フェチ心」(爆)が揺り動かされ、折良く(?)東京出張が入った際に観測に行って来た時のものです。


クリックすると拡大表示します。◆まずは大船発の3両が到着、連結準備
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今回の「テキスト」は、東京駅を20:03に出発する成田空港行きの「成田エクスプレス47号」で、まずは19:57に大船発の3両編成が到着します。写真手前の車両はクモハ252-13。車掌さんや駅員さんが集まり、連結のための確認作業に入ります。


クリックすると拡大表示します。◆次に池袋発の6両が到着、低速で接近
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20:01、池袋発の6両編成が到着です。まずはホーム端の誘導信号機の前で一旦停止、それから誘導信号機の指示にしたがってゆっくりと入線していきます。そして上の写真のとおり5m手前でまた停止、慎重かつ確実な作業手順です。

こちらの車両はクロ253-7。ここからがこのN'EX253系電車の持ち味で、車両・幌の連結・解結は全て自動で行われ、一切人手をかけずに作業が進んでいきます。


クリックすると拡大表示します。◆先に連結、それからプラグドア開口…
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クリックすると拡大表示します。◆ここでようやく幌が姿を見せる………
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まずは連結。通常の外付け幌の場合は、連結前に作業員さんが幌をビロビロ伸び縮みさせたりしてなじませたりするシーンがあったりしてそれはそれでまた「萌える」(笑)のですが…。この253系の場合はまず車両を連結しておいてから幌を出す形になります。

そして下の写真、両方の車両のプラグドアがゆっくりと開きますが…先頭車の形そのものは左右対称なのですが、貫通扉は左右非対称になっていて、運転席側の扉が若干狭くなっています。で、その後にようやく右側のクモハ252から幌が姿を見せます。日本では極めて珍しいゴムチューブ式の幌ですが…ゲート状に組み合わされたユニットがそのまま押し出されてくるのがまた何ともユニーク。


クリックすると拡大表示します。◆両側から出た幌が密着、連結完了……
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そして左側のクロ253からも幌がせり出されてきて「ガッチャーミー」完了です。「チューブタイプの2枚幌」という形はおそらく日本ではこの車両だけではないでしょうか。ゴムの「ダイヤフラム一体成型タイプ」なら新幹線車両に例がありますが……。幌同士を連結・固定するアタッチメントは特になく、幌のゴム同士がぴったりと押しつけ合っているだけです。……と文章で書けば長くなりましたが、車両の連結から幌の連結までの時間はごくわずか、30秒程度、といったところでしょうか。


クリックすると拡大表示します。◆編成連結面は通常時は通行禁止………
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と、連結・解結を素早く行うシステムを持つ253系ですが…上の写真は連結面の貫通扉で一般乗客は通れないようにロックされています。よく見れば何となく非常用に開放できるスイッチがありそうな雰囲気ではありますが…どうやら走行中は転落の危険性があるために非常用限定になっているのだとか。確かにゴムを押しつけ合っているだけでメカニカル的には連結されていないのでやむを得ないところなのでしょう。

全車指定席なので分割編成列車にありがちな誤乗もないから通常は編成間を通行させなくても問題ない、というところもあるのかもしれません。だとしたら「何で幌が要るの?」という話になりますね。たくやさんも、「全車指定席でありながら、乗客が通行できない通路ではわざわざつなぐ意味はないと思うのですが、」と書かれています。

敢えて編成間を幌で連結する意味を考えるとすれば……それは「地下線内を走るから火災などの非常時には避難のため通れるようにしておく必要がある」ということなのだと思われます。実際幌の厚みはいかにも「応急用」という感じで薄いモノですから、緊急時に使えればそれでいいのかもしれません。

いずれにせよ、オレ的には「幌が付いているなら全部OK」です(笑)。


ちょっと今回は写真の向きがバラバラで間延びした感がありますが、次回ももう1回連結シーンのレポートを予定しています。


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【総論編:関連リンク】
●第5回:幌の形態いろいろ(2)チューブタイプ
~もともとはこの記事のコメント欄でたくやさんから「N'EXの前幌はチューブタイプ」だと教えていただいていました。
●第6回:幌の形態いろいろ(3)埋込・収納タイプ
~こちらは岡山駅での「サンライズ出雲・瀬戸」の連結シーンを収録しています。