◇【第15回】韓国の485系電車~韓国鉄道博物館(8)

「海外の鉄道・バスの旅」、今回は韓国鉄道博物館の8回目として、ムグンファ号用として作られたEEC9900系電車の保存車両のスナップをご紹介します。

客車列車のみだった韓国の優等列車に電車編成を投入するきっかけとなったのは、ソウル(清涼里)と東海岸を結ぶ中央線・太白線・嶺東線の電化完成時に当時の韓国国鉄の首脳が日本を訪れ「485系電車のような列車を走らせたい」と言ったことだそうで、日立製作所の全面的な協力の下、韓国鉄道車両メーカーの老舗・大宇重工業が10両組2編成を製作しました。

中央線発着のムグンファ号用として運行が開始されたのは1980年のことで、その後、車両の老朽化とともに1999年にはトンイル号用に格下げ、廃車となったのは2001年……車齢21年での引退は山岳路線での使用環境の厳しさを伺わせます。


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外観(Tc9904)と大宇(DAEWOO)重工のエンブレム 2006年10月


いかがでしょうか?

何か485系583系を足して2で割ったような外観ですね(笑)。側面に見える赤い「ヒゲ」はモロ日本の国鉄特急車のキャラクターラインです。この保存車両は運転台にも座ることができるのですが……やはり地元の子供さんたちには大人気のようで、結局遠慮してしまって(?)写真も撮らずじまいでした。使用当時の塗り分けは、赤/水色→白/オレンジ/赤だったようですが、上の写真のものは登場当時の初代のものでしょうか。

保存されているのは先頭車両(Tc車)だけですが、現役当時の編成は次のとおりです。

清涼里/東海→Tc9901+M9921+M'9951+M9922+M'9952+Tb9991+Ts9981+M'9953+M9923+Tc9902
(Tb:食堂車/Ts:特室)


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次の写真は、車内の座席配置ですが……赤系のシートに白いクロスはこれまた日本の特急列車のイメージそのもの。ただこちらの方は簡易リクライニングで、シートは左右に分割されていません。座席の向きの転換はシートバックを前後に倒して行い、イメージとしてはJR西日本の223系とか阪急京都線の6300系といったところです。

また、車内の広告も当時のものがそのまま残っているようで、上の写真はセマウル号をイメージした「新婚列車」(シンホンヨルチャ)。新婚さんの利用は10%の特別割引…といった意味のようです。でも、同じ事業者の列車といっても、ムグンファ号の広告にセマウル号…というのもちょっと妙な感じがします(笑)。いや、やっぱり韓国国鉄のフラッグシップとなる列車は電車編成が登場してもディーゼル動車のセマウル号、といったところでしょうか。今はもちろんKTXですが。


次回は、トンイル号と各駅停車のピトゥルギ号に使われていた旧形客車のスナップをご紹介する予定です。


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