●第36回:幌座のいろいろ(3)キハ41-2001
「貫通幌のガイドライン」今回はJR西日本の125系電車の「ちょっと変わった幌座」をレポートする予定でしたが、やはり今回は前回紹介しそびれてしまった(何せ枝葉が伸びすぎだったから)モノを特集したいと思います。
まずはこの写真から。
「2000番台」と言っても別に「0番台」のオリジナルがあるわけではなく、キハ47-1000(トイレなし片運転台車)を種車として単行運転ができるように運転台・トイレを増設した改造車で、全部で5両が豊岡鉄道部(福トカ)の所属となっています。この41-2000が登場したのは播但線の南側(姫路-寺前間)が電化された1998(平成10)年のことですが……和田山向き(上の写真)と姫路向き(下の写真)で「顔」が全く異なるサプライズな仕上がり(このキハ41-2001の元番号は47-1009)。
「幌フェティシスト」的には、増設運転台側、つまり姫路側の「異形の顔」にこそ幌を付けてほしい、とついつい思ってしまうのですが、この後JR西日本の福知山支社(播但線も福知山支社の管轄)からは、「サンパチ君」113系3800番台、R編成「食パンカフェオレ」(クモハ114-6000+115-6000)、そしてクモハ112と114の前位側に霜取り用パンタグラフ増設と、渾身の「珠玉の迷作にして名作」が次々と輩出されていくことになります。
ただ今回のテーマの「幌座」的には、国鉄以来伝統の「薄型のガイドレールタイプの幌座」となっていて、特に変わったところはありません。ただ、以前◆Vol31:播但・山陰・福知山~個性的な車両群(書庫「旅のようなもの」)でも掲載したスナップですが、次の写真をご覧ください。
登場以来約10年が経過して、播但線南側の103系3500番台に合わせたワインレッドの塗色も次第に「熟成」されてきた感がありますが(?)、幌座の周りだけ色の抜け具合が違っているのがお分かりでしょうか。単行運転が可能なように改造されて登場した41-2000ですが、実際は朝夕を中心に41-2000同士、あるいは47の2両組や40-2000の両運転台車と組んで使われることも多く、この写真からは、相当な期間連結された状態で使われていたことが伺われます。
何というか、「●●●の日やけ跡」(下ネタにつき伏字)というか「ランニングを脱いだおっちゃんの日やけ跡」のような「幌の日やけ跡」とでもいうか。
あるいはそういうことでは全然なくて、幌座の周りだけ色を塗り替えたのか……見れば見るほどよく分からないスナップです。
それがどないしたっちゅーねん、と言われてしまえばそのとおりなのですが……。
それにしても、この異形の「ロゼワイン」、何でこんな面白いブツが出てきたのでしょうか。単行運転に使えるキハ40-2000が足りなかったのか、あるいは逆にキハ47の2両組が余っていて、フレキシブルな編成を組めるようにしたかったのか、またはその両方かは分かりませんが、いずれにせよこういう「ケッタイなもの」が好きな私としては、この力作の存在に感謝せずにはいられません。
次はエンジンを「カミンズか小松」のハイパワー仕様に換装、でしょうか(え?)。
41-2000同士の連結面 寺前駅 2006年7月
もう一つ、YouTubeにアップロードしたキハ41走行中の動画(時間:1分3秒)も貼っておきたいと思います。昨年の8月、但馬出張で宿泊先の豊岡へ向かう途中に乗ったキハ41-2005車内の風景(長谷-生野間)……と言っても夜ですので何がなんだか全く分かりません。まぁ生野峠越え最中のディーゼルサウンドをご堪能いただく、ということで。
次回は、前回記事末尾での予告どおり「JR西日本125系電車の幌座」をレポートします。