▼web空間における「パブリックな私」を考える4つのメモ(1)「これは怖いインターネッツでつね」

1 web空間における「個人情報」と「危機管理」



ここで取り上げられている問題の1点目……web空間における「個人情報の管理」は「古くて新しい」と同時に「新しくて古い」テーマである。この問題はおそらく何度でも、様々な論者によって何周でもループするであろうし、またそうあるべきだとも思う(何度でも再確認されるべきである、という意味で)。

特に個人情報をネットにアップすることには慎重さが求められます。自分や家族や友人の顔写真をアップして大丈夫?居住地や職場の情報、写真をアップして大丈夫?日本全国&全世界に自分の姿をさらけだして本当に大丈夫?今は大丈夫でも将来は大丈夫?悲しいことですが、この世には犯罪者や悪意のカタマリのような人がいつでもいるものです。普通の人があるとき悪意を持つことも十分ありえます。いつ他人の怒り、妬み、恨みを買うか分らないのです。一つ一つの情報では分らなくても、情報を蓄積・総合して個人を特定することも可能でしょう。直接自分が巻き込まれなくても、家族や友人に迷惑がかかる場合も考えられます。自分の公開している情報が、犯罪や嫌がらせ・イタズラに使われる可能性をいつも頭に入れておくべきだとわたしは思います。
(インターネットは恐ろしい(1) -食うべき詩 -Yahoo!ブログ)

私自身が自分のブログサイトを持つようになってからもう3年目、自分の趣味である鉄道やモータースポーツ関係のブログを中心にいろいろな方々のいろいろなコンテンツを見させていただいてきた。その中で、確かにトンコさんが言われているような危うさを感じる記事はweb上に数多く流布している。もちろん、ここでいう「個人情報」とは自分自身の情報だけではない。家族や友人・知人、あるいは仕事上の関係者など、自分が関わる他者のものも含まれており、またそこまで射程を広げて考慮されるべきだと考える(とくに危ういのが家族、とりわけ自分の子どもだ)。

「ネットの世界は危険である、危機管理をしっかりしなくてはいけない」そこまではよく分ります。「被害を受けるのは自業自得だ」はぁ?なんで人様にそんなこと言われなきゃならないのか。一般論として語るなら今は百歩譲っておきましょう。しかし、特定の個人の特定の事例について「自業自得」論を振りかざすのはいかがなものか。自分で自分に「こりゃ自業自得ってやつだな」と言うならいいでしょう。付き合いが深く特別に親しい人が言うのも、まあ分からないでもありません。しかし、特に親しくもない人だったら?リアル世界で、親しくもないのに、被害にあって困っている人、自分の目から無防備に見える人に向かって「自業自得っ!」と言ったら、相当とんちんかんなヤツと思われるでしょう。人との距離感をマヒさせるインターネット、そんな恐ろしさもあるんじゃないかと思います。
(インターネットは恐ろしい(2)-食うべき詩 -Yahoo!ブログ)

ただトンコさんが上の引用のように問題とされているもう1点……この問題には、web空間でのあるべき立ち振る舞いについて、「危機管理の必要性」または「危機管理がちゃんとできていなかったから自業自得」の一言では割り切れないものを私自身感じつつあるのも確かである。トンコさんが発展させて居られる方向性からは若干ずれていくが、私自身の中でふくらみつつあるモノをこの稿で何回かに分けて書き留めておきたい。

その前に、この「自業自得論」に対しての違和感についてだが、「自業自得論」は、その根拠として「危機管理」意識や「自己責任」論に根ざしているように見かけ上は思えるのだが、その実この言説を投げかけるのは自分の受け入れられない異論に対してのみであるように思われてならない。つまり、「異質な他者」に対する「自尊心バトル」や「優越感ゲーム」を仕掛けるためのダシにしか過ぎないのではないだろうか。

ただ、web空間で個人がコンテンツをアップロードする際にある種の「個人情報に対する脇の甘さ」が問題となることも確かである。この何回かの論考では、「お役立ち情報」や「自己責任」と重なりつつも、また別の角度からこの問題を考えていきたい。

(次回:「web空間で個人情報が晒された事例」に続く)