●第43回:北陸本線(敦賀-直江津間)の475系・521系等観測ガイド(1)

「貫通幌の観測と研究」……今回も前回に引き続き、7月下旬の「北陸&大糸線青春18』フィールドワーク」で観測した「幌」レポート、北陸本線の475系や521系など「前幌付き」車両の「フィールドワーク・ノート」です。

1962(昭和37)年に急行型電車として敦賀第二機関区(現在の金フイ:福井地域鉄道部敦賀運転派出)に新製配置されて以来、1982(昭和57)年からはローカル運用に転用されて47年の長きにわたり幌をなびかせて北陸本線を走り続けてきた475系ですが、北陸新幹線の金沢開業と併せてその去就が注目されています。2006(平成18)年の敦賀開業に伴い521系電車が地元自治体の負担により新製投入され、置き換えが進むものと予想されていました。現在のところは475系というよりはむしろ419系の置き換えが進んでいるという状態で、今なお475系は北陸本線ローカル列車のエースとして君臨し続けていますが、老朽化が目立つ状況の中で「予断を許さない状況」には変わりありません。

というわけで、今回から2回に分けて、北陸本線のローカル運用で活躍を続ける「前幌付き車」475系(413系等の派生形式を含む)や521系等の「観測ガイド」をまとめてみたいと思います。


1 車両運用区間

(1)475系(413系含む)
北陸本線敦賀直江津
2006年の敦賀直流電化以降は敦賀以南の定期運用はなくなった。
※主な列車の運転系統
 敦賀-福井・金沢・富山/福井-金沢・富山/金沢-富山
 富山-糸魚川直江津/武生-福井/福井-芦原温泉
 小松-金沢/大聖寺-金沢/高岡-富山/富山-泊
(2) 521系
北陸本線福井以南(長浜・米原含む)
(2010年3月ダイヤ改正からは福井-金沢間にも運用予定)
湖西線近江今津近江塩津
小浜線
※主な列車の運転系統(北陸本線のみ)
 敦賀-福井/長浜-敦賀
(3) 125系
北陸本線敦賀以北の運用なし(直流車のため)
小浜線

敦賀直流延伸時に滋賀・福井両県の「お布施」によって新製投入された521系の運用範囲がいよいよ北へ伸びていきます。521系は前回記事でも触れたとおり223系をベースに開発された車両で、車体のスタイル、幌の形状も含めて今後JR西日本の一般車両の標準形になりそうな勢いですが、これに伴い475系の今後にも大きな動きが出てくる予感がします。

2 編成パターンと幌の受け持ち側

イメージ 1
(http://f.hatena.ne.jp/o_keke_nigel/20090829181017)

475系A04編成(T455-8)+A12編成(Mc457-18)/金沢駅090725


 「※」は前幌の受け持ち側
(1) 475系・413系
敦賀直江津
※Tc455+M'474+Mc475 …①<15本>
※Tc451+M'474+Mc475 …①'<1本>
※Tc451+M'470+Mc471 …①'<1本>
※Tc455+M'470+Mc471 …①'<1本>
※Tc455+M'456+Mc457 …①'<4本>
※T455+M'474+Mc475  …② <3本>
※T455+M'470+Mc471  …②'<1本>
※Tc412+M'412+Mc413 …③<9本>
※Tc455+M'412+Mc413 …④<2本>
【列車編成】
・3両組→①(①')/③/④
・6両組(475系2編成)→①(①')+①(①')
・6両組(サハ組み込み)→①(①')+②(②')
・6両組(413系2編成)→③+④
・6両組(475・413併結)→①(①')+③or④
(2) 521系
敦賀直江津
※Tc520+Mc521(定期運用で2編成併結はない)
(3) 125系(「P」はパンタグラフ)
米原・東舞鶴敦賀
※PcMc125(1両または2両) 

475系(413系含む)といえば、富山側からMc-M'-Tcの3両編成1ユニットというイメージが強く、実際現存する編成もこの組み合わせが大半なのですが、Mc車(クモハ)の部分が471系であったり457系になっているもの、また敦賀側がTc車(クハ)の代わりにT車(サハ)になっていて6両運用に使われている(上の写真参照)など、意外に編成のバリエーションは多彩です。

北陸本線普通列車充当例(敦賀駅発下り列車)

 (( )内は行先、○数字は編成両数)
 *221M 5:47(金沢)→475③+413③
 *223M 6:05(富山)→413③
 *225M 6:29(芦原)→475③
 *227M 6:48(富山)→475③③
 *229M 7:06(福井)→475③+413③
 *231M 7:21(芦原)→419③
 *233M 7:41(福井)→475③
 *235M 8:13(芦原)→419③
 *4843M 8:54(福井)→521②(近江今津始発)
 *239M 9:53(金沢)→475⑥(サハ組込)
 *241M 10:42(福井)→521②
 *243M 11:43(福井)→521③
 *245M 12:38(福井)→475③
 *249M 13:33(福井)→521②
 *253M 14:48(福井)→419③
 *255M 16:08(福井)→475③
 *259M 16:45(福井)→419③
 *263M 17:52(金沢)→475③
 *265M 18:39(福井)→475③
 *267M 19:02(福井)→419③
 *269M 20:07(福井)→475⑥(サハ組込)
 *271M 20:57(福井)→521②
 *273M 21:55(芦原)→475③
 *275M 22:38(福井)→475③

【出典】
 鉄道ピクトリアル2009.08号(No.821)
 「北陸本線 地域輸送の国鉄型電車」(P64)

運用の例として、敦賀からの下り普通列車に充当される系列の表をあげてみました。運用表については、「鉄道ダイヤ情報」の2010年3月号(2月発売)にも詳細なものが掲載されています。ただ、3月ダイヤ改正521系の運用区間が金沢まで伸びたことから、いくらか運用に変化があると思いますのであくまでもご参考までに。

今回の記事は以上です。

475系等の運用については2008年の夏時点でのデータですが、521系の運用延伸(=475系の撤退?)など今後の状況はかなり流動的です。「幌好き」の観点からは475系の後も前幌付きの521系が投入されるのは嬉しいかぎりとはいえ、長年北陸本線のローカル運用のエースとして活躍を続けた475系にもとうとう「引退」の時期が見えてきただけに、今のうちに折を見て観測を続けていきたいところです。

次回は、主な駅での「車両観測・撮影ポイント」についてレポートする予定です。車両観測・撮影の条件と主な駅のの配線図、撮影時のポイントについてまとめたいと考えています。