■No.12:国鉄バス京鶴線MAR470

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国鉄バス京鶴線・周山バスターミナル 1985年8月



「三菱G4ボディの肖像」、今回ご紹介するのは、国鉄バス京鶴線の主力として活躍していた三菱MAR470(1976年製)です。

国鉄バス京鶴(けいかく)線国鉄民営化後は西日本JRバスとなったこの路線は、京都駅前を起点として、国道162号線周山街道に沿って北上、途中京都北桑田郡京北町の中心地周山(しゅうざん)、美山町の安掛(あがけ)、鶴ヶ岡(つるがおか)を経由し、福井県境近くの丹波福居へと至る68.2kmの路線で、国道から外れた小集落への枝線もいくつか抱えていました。

かつては府県境の堀越峠を越えて福井県の小浜まで通じていたとのことですが、私がこの写真を撮影した1985(昭和60)年当時は既に京都側は丹波福居まで、福井県側は納田終(のたおい・名田庄村)までと府県越えの路線は廃止・分断されていました。

運行系統は、京都駅前から丹波福居まで直通するのは京都駅前14:00発の1日1便で、残りは京都市内から約1時間ほどの周山で乗り換えとなるパターンでした。学生の頃、三菱車の牙城だった京鶴線のバスを撮りに何度も周山には通ったものでしたが、大学2年の夏休みにたった一度だけ酔狂にも丹波福居まで乗り通してみたことがあります。京都駅前から約3時間弱、運賃は片道2,200円…学生の身には結構な出費でしたが、北山杉が整然と立ち並ぶ村々への小旅行は今もなお忘れ得ぬ思い出となっています。

この三菱MAR470シャシー形式が「MAR」とあるように、路線バスでありながらエア・サスペンションを装備、しかも側窓は観光バスタイプのメトロ窓、内装は白いビニールクロスが付いたハイバック・シートが奢られていたかなりの豪華版でした。ローカルバスの路線になぜ…と思われる向きも多いかと思いますが、京鶴線は沿線に景勝地である高雄・槙ノ尾・栂ノ尾(総称して「三尾」)を抱える観光路線でもあり、高雄までは京都市バス(三条京阪発)との競合区間という路線事情もあって、こういうカスタム仕様の「京鶴スペシャル」が投入されていたようです。

しかも元々は中扉折戸のいわゆる「ツーマン車」として登場し、後にワンマン運転導入の際に前扉が増設されたという経歴をもっており、そういう意味でもまさに「ここにしかない」個性的なバスだったといえるかもしれません。


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ドライブイン「ゆげ」の後面広告 ~地名の「弓削」とコーヒーの「湯気」をひっかけている(笑)


現在の京鶴線ですが、西日本JRバスは周山から南の区間だけを残して撤退してしまっており(2003年4月~)、162号線周辺の枝線も含めて各自治体のコミュニティバスがカバーしているという状況です。そして路線名も「高雄・京北線」となっています。ここらあたりは全国各地のローカルバスでよくあるパターンともいえますが、京北町は2005(平成17)年4月から京都市編入されて右京区京北町となり、美山町は西側の園部町八木町、日吉町と合併して今年の1月に南丹市となっています。私が約20年前に通い詰めた頃の風景は、あまり変わってはいないようなのですが……。

さて次回は…うーちゃん氏お待ちかね(?)の京阪バスの三菱G4ボディ、としたいところなのですが、もう1回だけ国鉄バス三菱MAR470のお話で行きたいと思います。


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